抄録
終末期の問題,特に生き死にに関しての問題は,アメリカならアメリカなりの,西欧なら西欧なりの,東欧なら東欧なりの,中東なら中東なりの,アジアならアジアなりの,日本なら日本なりの死生観や文化的背景を十分考慮して対応する必要がある.しかも,個々人ごとにていねいに対応する必要がある.そのためのキーワードは明らかに有意差を証明できる医学的エビデンスと患者・家族・医療者間の相談と合意形成である.相談における医療者のアドバイスは非常に重要となる.無理強いしてはいけない,実現可能でなければならない,継続できなければならない,これらを満たした医療方針が選択されることが望ましい.完璧を目指してはいけない.みんなが納得できる合意に綱渡り的でよいからつなげていくプロセスを目指すべきである.人間は必ず死んでいく存在であるから,この終末期の問題に関して,国民や司法がもっと寛容であってほしい.