2015 年 25 巻 1 号 p. 111-113
高頻度胸壁振動による排痰補助装置であるスマートベストの導入により,主として家族が必要に応じて定期的に排痰を行うことができるようになった.導入期は,膿性痰が減るなど痰の性状に良好な変化がみられ,CRPは6.6±5.6mg/dlから0.3±0.1mg/dlへ低下した.また訪問看護の回数・日数が減少し,入院回数は0回となった.その結果,医療費2,178,230円(29.8%)の減額に繋がった.
スマートベスト導入は,気管切開下人工呼吸換気(TPPV)施行中の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者における,適切かつ定期的な排痰を可能にした.スマートベストは呼吸器感染症の予防や全身状態管理に効果的な排痰補助装置である可能性が示唆された.