抄録
施術者のための呼吸介助習熟度評価表を作成し,評定者間の一致度及び一回換気量の増加に影響する要素を検討した.理学・作業療法士53名を対象に,呼吸介助の指導に従事している理学療法士3名が評価表を用い,手技の習熟度を判定し,同時に一回換気量を測定した.結果,ほとんどの項目においてかなりの一致度を示し,用手接触部位,方向性,タイミングの項目ではκ係数が0.81以上と高い一致度であった.加えて,一回換気量の増加量と用手接触部位,タイミングの項目に関係があり,総合点数と相関を認めた.以上より,本評価表は手技を指導する際の他覚的な習熟度評価表として用いることが可能であり,用手接触部位とタイミングの項目が重要な要素であることが示唆された.また,手掌全面接触,圧迫の強さ,痛み・不快感,次回も行って欲しいかの項目については,手技を受ける者に直接尋ねながら施行する必要性がある.