抄録
【背景】気管支喘息,COPDでは吸気流速はFEV1 と共に低下するため,FEV1 低値症例ではドライパウダー製剤(DPI)が十分に吸入できない可能性がある.【目的】FEV1 低値症例において,吸気流速の観点からDPIディバイスによる違いを比較した.【方法】安定期の気管支喘息,COPD,両者の合併例においてFEV1 1,500 ml以下の症例を対象とし,ディスカス,タービュへイラー,ハンディヘラー,ブリーズヘラー,エリプタの練習用キットを使用し,DPIを吸入するのにその流速が十分かどうかを調べた.【結果】気管支喘息12例,COPD 32例,両者の合併9例の合計53例で測定を行った.吸気流速不足と判定された症例数は,ディスカス1例,タービュへイラー6例,ハンディヘラー1例,ブリーズヘラー2例,エリプタ3例であった.【結論】FEV1 が低下した症例においてもほとんどの症例でDPIが使用可能であったが,タービュへイラーについては吸気流速不足に陥りやすいため注意が必要である.