抄録
【はじめに】入院患者の誤嚥・窒息予防は重要であるが,具体的な取り組みに関する報告は少ない.今回,当院で誤嚥・窒息予防の現状を調査し,改善対策の後,その効果について検討したので報告する.
【方法】院内の全看護師278名に対し誤嚥・窒息に関するアンケート調査を実施した結果,改訂水のみテスト(MWST)やフードテスト(FT)のマニュアルの認知度は48%と低く,食事介助中の誤嚥・窒息経験者は21%と高かった.対策としてマニュアルを改訂し,研修会や病棟で実技勉強会を実施し,マニュアルの周知徹底を図った後,同様の調査を実施した.
【結果】MWST及びFTマニュアルの認知度は73.5%に上昇し,食事介助中の誤嚥・窒息経験者は1.8%に減少した.
【考察】MWST,FTは一般的な嚥下機能評価であるが,看護師の認知度や実施率は低かった.周知徹底の取り組み後,MWST,FTマニュアルの認知度は向上し,誤嚥・窒息の経験は減少したが,十分ではなく継続した取り組みが必要と考えられた.