日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2189-4760
Print ISSN : 1881-7319
ISSN-L : 1881-7319
原著
COPDの6分間歩行試験における脈拍数に対する右心負荷の影響
山﨑 岳志萩尾 敦史井上 実緒伊左治良太中西 陽祐南 卓馬坂口 才土谷美知子長坂 行雄
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 25 巻 3 号 p. 429-434

詳細
抄録
われわれは,COPDにおける6分間歩行試験(6MWT)中の脈拍数に及ぼす心負荷の影響を検討した.心負荷の判定は,非侵襲的検査である胸部X線,胸部CT,心電図,心エコーを総合的に判定して,潜在的に右心あるいは左心の異常を認めたものとした.顕在性の心不全症状を認めた例は除外した.対象はCOPD患者87例で,完歩群69例と,非完歩群18例であり,右心負荷群・左心負荷群・両心負荷群・心負荷なし群の4群に分類した.6MWT中のSpO2,脈拍数,修正Borg Scaleを用いた呼吸困難と下肢疲労感の変化を,完歩群と非完歩群の2群間及び各心負荷群の4群間で比較した.脈拍数は,両心負荷群では左心負荷群と比較して4分後から6分後まで有意に高値を示し,右心負荷群は左心負荷群より,開始時から6分後まで有意に高値であった.完歩群の70%,非完歩群の94%で何らかの右心負荷を認めた.顕在性心不全のないCOPD症例の中で,右心負荷を示す例では,6MWT中の脈拍数が高値であり,一回心拍出量が制限されている可能性が示唆された.
著者関連情報
© 2015 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
前の記事 次の記事
feedback
Top