抄録
【目的】COPD患者における低酸素血症が,高次脳機能と脳血流反応に及ぼす影響を検討した.
【方法】COPD患者10名を対象とした.日常生活での低酸素血症の指標は,連続パルスオキシメトリによる24時間のSpO290%未満低下時間(以下T90),高次脳機能はN-Back Task(以下NBT)の正答率で評価した.近赤外線分光法にてNBT時における脳皮質の酸素化ヘモグロビン(Oxy-Hb)変化量を測定した.Oxy-Hbの増加を脳の賦活とした.
【結果】NBTの正答率は安静時PaO2と有意な相関がみられなかったが,T90と負の相関を認めた(r=-0.74,p<0.05).T90とOxy-Hb変化量には正の相関を認めた(r=0.63,p<0.05).
【結語】COPD患者では,日常生活の中で低酸素状態に晒される時間が長い程,NBTで評価した高次脳機能が低く,NBT実施中の脳賦活量が大きい.