抄録
Nasal high flow(NHF)は,非侵襲的に鼻腔から高流量の酸素投与が可能であり,急性呼吸不全の管理においてその有効性が報告されている.また,会話,飲食,排痰などが可能で,リハビリを進めやすい可能性が期待されているが,NHF使用下でのリハビリの報告はほとんどみられない.今回われわれはNHF使用下で理学療法と作業療法を併用施行し,早期離床を試みた重症肺炎・急性呼吸窮迫症候群(ARDS: acute respiratory distress syndrome)の1症例を経験した.本症例では,日常生活動作訓練に加えて,酸素吸入下での家事動作や趣味活動の訓練も行い,退院後のQOL(Quality of life)向上を目標に支援をした.NHF使用中でも,早期の理学療法・作業療法介入が有用な症例もあることが示唆された.