抄録
症例は80歳代女性,入院前は杖歩行で自立.肺炎により入院した後,誤嚥により肺炎が増悪し,第9病日に急性呼吸窮迫症候群を発症.第17病日より呼吸リハビリテーションを開始したが,その後気胸併発,十二指腸狭窄のため胃空腸バイパス術が施行され,身体機能が著明に低下した.さらに意欲低下,易疲労感等のため十分な運動療法が実施できなくなり,歩行時のふらつきは著明であった.そこで自立歩行を目標に,第120病日よりベルト電極式骨格筋電気刺激法(B-SES)を開始.第130病日までに7回施行した結果,第87病日→第120病日→第133病日で比較検討すると,等尺性膝伸展筋力:0.23→0.25→0.31(kgf/kg),30秒椅子立ち上がりテスト:0→0→6(回),6分間歩行距離:278→307→357(m)と著明な改善を認めた.第134病日には杖歩行で自立して自宅退院となった.B-SESは,「フレイル」高齢者にとって,身体機能の改善が得られ,臨床的に有用な場合もあることが示唆された.