日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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症例報告
ARDS発症後の下肢筋力減弱に対する短期間ベルト電極式骨格筋電気刺激法の効果
佐藤 憲明椛島 寛子星木 宏之有吉 雄司津崎 裕司高永 康弘林 秀俊
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2016 年 26 巻 1 号 p. 119-121

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抄録
症例は80歳代女性,入院前は杖歩行で自立.肺炎により入院した後,誤嚥により肺炎が増悪し,第9病日に急性呼吸窮迫症候群を発症.第17病日より呼吸リハビリテーションを開始したが,その後気胸併発,十二指腸狭窄のため胃空腸バイパス術が施行され,身体機能が著明に低下した.さらに意欲低下,易疲労感等のため十分な運動療法が実施できなくなり,歩行時のふらつきは著明であった.そこで自立歩行を目標に,第120病日よりベルト電極式骨格筋電気刺激法(B-SES)を開始.第130病日までに7回施行した結果,第87病日→第120病日→第133病日で比較検討すると,等尺性膝伸展筋力:0.23→0.25→0.31(kgf/kg),30秒椅子立ち上がりテスト:0→0→6(回),6分間歩行距離:278→307→357(m)と著明な改善を認めた.第134病日には杖歩行で自立して自宅退院となった.B-SESは,「フレイル」高齢者にとって,身体機能の改善が得られ,臨床的に有用な場合もあることが示唆された.
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© 2016 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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