抄録
睡眠呼吸障害(sleep disordered breathing: SDB)の問題点のひとつとして,心不全の発症や悪化に関連することが知られている.心不全のSDBは,(1)上気道閉塞に起因する閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea: OSA)と,(2)心不全そのものが原因で呼吸調節システムが不安定となり生じる中枢性睡眠時無呼吸(central sleep apnea: CSA)に大別される.心不全においてはSDBが予後悪化因子であり,SDBの治療によって心機能が改善することなどから,心不全自体の治療となる可能性があり注目されている.心不全でもOSAへはCPAPが検討され,CSAへはadaptive servo-ventilation(ASV)などが検討される.このように心不全におけるSDBの治療は多彩であり,SDBに対するCPAPおよびASV療法を述べるにあたっては,心不全のSDBの治療を述べるのが最も理解しやすいと考えられるため,それに関する現状と今後に関して述べる.