抄録
高流量鼻カニュラ(HFNC)は,さまざまな生理学的利点を備えた新たな非侵襲的呼吸管理法である.NPPVはマスク装着に伴う不快や拒否を伴いやすいが,HFNCは圧や換気量を測定できないものの,インターフェイス不快や患者拒否はきわめて少ない.したがって,非侵襲的呼吸管理としてより確実で高い効果を期待する場合はNPPV,軽症例や症状緩和を優先する場合はHFNCが適応と考えられる.しかし最近,心臓血管外科術後や市中肺炎などの1型呼吸不全において,挿管回避,死亡率などにおいて,HFNCがNPPVと同等もしくは優れるとするランダム化比較試験の報告も見られ,HFNCがどこまでNPPVに代わり得るのか更なる検討が待たれる.2型呼吸不全についても,HFNCは呼吸仕事量減少,死腔換気量減少による肺胞換気量増加が期待できるが,直接的な換気補助はできないので,急性期には不向きであるが,軽症慢性2型呼吸不全患者には有用かもしれない.