抄録
人工呼吸器管理下のARDS症例に対して,バンドルケア導入前後の成績を比較し,その効果を検討した.
【対象と方法】研究期間は2010年5月から2015年5月,対象はこの間に当院ICUにて人工呼吸器管理となったARDS症例のうち,入院前独歩可能であった77症例とした.2013年7月より,ABCDEバンドルを元に,当院でも施行できるよう調整したバンドルケアを使用した.
【結果】バンドルケア導入前例は28例,導入後例は49例であった.バンドルケア導入前後での両群間の,人工呼吸器開始時年齢・性別・PF ratio・FiO2・APACHE2スコア等において有意差はみられなかった.人工呼吸器離脱期間は,バンドルケア導入後群で有意に短縮され(前20.3日 vs 後11.5日,p<0.05),死亡率においても導入後群では有意な低下を認めた(前42.9% vs 後14.3%,p<0.01).
【考察】バンドルケア導入後に,人工呼吸器離脱期間短縮や死亡率の低下傾向がみられ,ARDS症例に対しても一定の効果があると考えられた.