日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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総説
間質性肺炎患者リハビリテーション時の病態評価と運動負荷法の実際
海老原 覚杉野 圭史本間 栄
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2016 年 26 巻 2 号 p. 191-193

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抄録

間質性肺炎に対する呼吸リハビリテーションの有用性が近年指摘されている.ここで重要なのは間質性肺炎における呼吸リハビリテーションにおいて,どのような患者が適しているのか,どのような呼吸リハビリテーションが適しているのか,ということである.それを解明することを目的として,Toho Rehabilitation for Interstitial Pneumonia Study(TRIP study)を立ち上げた.そこでの患者の評価として基本属性に加え,病態把握,重症度分類(JRS),運動耐用能とQOLの評価を行っている.なかでも我々は咳嗽に注目して評価している.咳嗽は間質性肺炎の主症状であり,QOL及びリハビリテーションの阻害因子のみならず,N- アセチルシステイン吸入療法などにおける薬物療法の阻害因子であるからである.さらに間質性肺炎において咳嗽の重積発作は気胸を引き起こし,重症呼吸不全から死に至るきっかけにもなるからである.咳嗽に関するQOLの問診票としてレスター咳問診票(LCQ)がある.さらに客観的に咳嗽を記録できる咳モニターシステムの開発が待たれる.外来リハビリテーションの頻度と期間は,週1回(60分間)を3ヵ月間継続的に行い,コンディショニングに引き続き有酸素運動を行い,さらに四肢のレジスタンストレーニングを行うメニューとしている.さらに私たちは間質性肺炎に特異的な教育用の教材の開発を行っている.そのような教材を用いることにより,リハビリテーションの効果が一層高まるものと思われる.

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© 2016 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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