急性呼吸不全を来す疾患は多々あるが,一部の疾患を除き非侵襲的換気療法(Noninvasive ventilation: NIV)の有用性は未だ明らかではない.著者は,気管支喘息発作患者および肝移植術後で呼吸器合併症を来した小児患者においてNIVが有効である症例を多く経験し後方視的検討を加えることにより,NIV使用で気管挿管が必要となる患者数が減少し,さらに集中治療室からの早期退室・早期退院へ導ける可能性も示しNIVの臨床的有用性を報告した.また,心不全患者における呼吸管理・睡眠呼吸障害の診療にも従事し同疾患患者群に対するAdaptive Servo ventilation(ASV)療法と酸素療法の臨床効果を比較した前向き無作為化試験の結果を報告し,未だ明確な方針が定まっていない心不全患者の睡眠呼吸障害の治療の分野において新たなエビデンスの構築に寄与した.