日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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27 巻, 1 号
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受賞報告
  • ―エビデンス,実践,普及―
    塩谷 隆信
    原稿種別: 受賞報告
    2017 年 27 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2017/09/01
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    呼吸リハビリテーション(呼吸リハビリ)は,慢性呼吸器疾患患者の機能を回復,維持させ,患者の日常生活を継続的に支援していく医療介入システムである.COPDを始めとした慢性呼吸器疾患患者においては,身体活動性の低下により生じたフレイルその予後を大きく規定している.このことから,慢性呼吸器疾患患者の身体活動性の正確な評価とその向上は非常に重要な課題である.

    COPD,間質性肺炎,肺結核後遺症,肺がん,肺高血圧症など呼吸不全を惹起する慢性呼吸器疾患がすべて呼吸リハビリの対象となる.呼吸リハビリにおいては,多専門職の学際的医療チームにより多次元的医療サービスが提供され,呼吸理学療法,運動療法,呼吸筋トレーニング(IMT),栄養療法,患者教育などの種目を中心にして展開される.栄養療法では抗炎症効果を有する栄養補助食品が臨床で用いられており,低強度運動療法と併用することでその効果が増加する.IMTでは,持続時間よりも実施回数に重点をおいた方法が考案され,新しい呼吸筋トレーニング機器が普及してきている.教育では,アクションプランの実施,セルフマネージメント,患者自身の行動変容が重要な課題である.

    呼吸リハビリの実施により,COPDにおいては呼吸困難の軽減,運動耐容能の改善,身体活動性の向上,健康関連QOL・ADLの改善が得られることから,その実践と普及が大いに期待される.

  • 牧田 比呂仁, 齋藤 拓志, 西村 正治
    原稿種別: 受賞報告
    2017 年 27 巻 1 号 p. 11-14
    発行日: 2017/09/01
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    本研究は,新たな定義に基づき,COPDの病型ごとの臨床的特徴や自然歴を明らかにする目的で実施した,多施設共同の前向き観察研究である.COPD患者279例を登録し10年間追跡調査した.本研究の特徴は,長期間に亘り呼吸器薬の休止を含む肺機能検査を定期的に行い,1秒量の経年変化を正確に追跡調査したことにある.本研究の主な成果として,COPD患者の1秒量の経年推移は,個々により様々であることを明らかにしたことが挙げられる.つまり適切な治療下で,急速に肺機能が低下する病型から,比較的長期間肺機能が維持される病型まで,様々な病型が存在する.

    本研究は,多種医療職の協働体制なしでは10年完遂することができなかった.研究事務局を中心に,各職種間の優れた連携を構築することができたこと,また研究趣旨に理解頂き,患者さんを含め一丸となり研究遂行のための協力関係を築けたことが,長期間の研究を成し遂げることができた大きな要因であった.

  • 有薗 信一
    原稿種別: 受賞報告
    2017 年 27 巻 1 号 p. 15-19
    発行日: 2017/09/01
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    我々は,COPD患者と間質性肺炎患者における運動耐容能評価法の有用性と高強度運動療法の効果を検討した.運動耐容能の評価は6分間歩行テスト(6MWT)や漸増シャトルウォーキングテスト(ISWT),定常負荷試験,心肺運動負荷試験などがある.COPD患者に対するISWTの最大運動能力評価法の妥当性を報告し,COPD患者100例により6MWTとISWTによる最高酸素摂取量の推定式を作成した.さらに別のCOPD患者104例に対し,前述の4種の運動負荷試験を測定し,最低SpO2が強く現れたのは6MWTとISWTであった.終了時の呼吸困難感と下肢疲労感が一番強いのは,定常負荷試験であった.

    COPD患者57例に対する高強度運動療法を,10週間の短期効果と1年間の長期効果を検討した.6分間歩行距離や息切れ,健康関連QOLの改善を認めた.また,間質性肺炎患者に対する高強度運動療法の効果を検討し,COPD患者と同様に改善を認めた.COPD患者と間質性肺炎患者に対する運動療法の効果判定では,運動耐容能の指標の中で運動持続時間の反応性が最も優れていた.

  • 村瀬 公彦
    原稿種別: 受賞報告
    2017 年 27 巻 1 号 p. 20-21
    発行日: 2017/09/01
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    急性呼吸不全を来す疾患は多々あるが,一部の疾患を除き非侵襲的換気療法(Noninvasive ventilation: NIV)の有用性は未だ明らかではない.著者は,気管支喘息発作患者および肝移植術後で呼吸器合併症を来した小児患者においてNIVが有効である症例を多く経験し後方視的検討を加えることにより,NIV使用で気管挿管が必要となる患者数が減少し,さらに集中治療室からの早期退室・早期退院へ導ける可能性も示しNIVの臨床的有用性を報告した.また,心不全患者における呼吸管理・睡眠呼吸障害の診療にも従事し同疾患患者群に対するAdaptive Servo ventilation(ASV)療法と酸素療法の臨床効果を比較した前向き無作為化試験の結果を報告し,未だ明確な方針が定まっていない心不全患者の睡眠呼吸障害の治療の分野において新たなエビデンスの構築に寄与した.

  • 原田 洋明
    原稿種別: 受賞報告
    2017 年 27 巻 1 号 p. 22-26
    発行日: 2017/09/01
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    外科手術後の合併症予防を目的に,主に消化器外科領域でEnhanced Recovery After Surgery(ERAS)をはじめとする術後回復促進プログラムが広く適用されるようになっている.当院ではERASに加えて呼吸器手術の特性を考慮し,肺切除予定患者に対して術前待機期間に多職種チーム体制による包括的呼吸リハビリテーションを実施してきた.短期間で効果をあげるべく可及的高強度での理学療法と,分岐鎖アミノ酸と漢方薬投与を行う強化栄養療法がその根幹である.また呼吸器外科手術では,腹筋群や消化管への影響が少ないことから,術後4時間経過後に,離床と経口摂取を開始し,術後の回復促進につなげる取り組みも行っている.

    われわれはこれらを進化型術後回復促進プログラム(Advanced ERAS protocol)と称し,多職種チーム体制にて実施しており,その臨床的有効性について検証・報告を行ってきた.

コーヒーブレイクセミナーⅡ
  • ―携帯型酸素濃縮装置の有用性について―
    杉野 圭史, 海老原 覚, 本間 栄
    原稿種別: コーヒーブレイクセミナー
    2017 年 27 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 2017/09/01
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    間質性肺炎の呼吸リハビリテーションの実施には,豊富な経験と知識を有するリハビリテーション科医師および理学療法士との協力が必要不可欠である.また,運動時に著明な低酸素血症を呈することが多く,酸素投与や酸素流量の増加を常に考慮しなければならない.従って,6分間歩行試験,夜間就寝時のSpO2値モニタリング,あるいは24時間SpO2値モニタリングで日常生活内の実態を明らかにすることは大変重要である.

    また,最近我々は安定期の特発性肺線維症および気腫合併肺線維症患者を対象に,圧力センサー方式で呼吸回数の測定可能な携帯型酸素濃縮装置ハイサンソポータブルαIIおよび携帯用睡眠時無呼吸検査装置とパルスオキシメータSR-700bsを用いて,運動時における呼吸数変動が,呼吸困難感,SpO2,脈拍数および運動耐用能に与える影響を検討した.本稿ではこれらの機器の呼吸リハビリテーションへの応用の可能性について具体的な症例を呈示しながら解説する.

コーヒーブレイクセミナーⅣ
  • ―マクトン等の加工用補助食品の活用―
    井上 登太
    原稿種別: コーヒーブレイクセミナー
    2017 年 27 巻 1 号 p. 32-35
    発行日: 2017/09/01
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    呼吸リハビリテーションにおける栄養療法として,摂取カロリーの増量に加え,炭酸ガス蓄積を避けるために呼吸商の低い脂肪,蛋白を主とした加工補助食品の使用も勧められる.重度呼吸障害症例において,食事は強い運動負荷として影響を与え,低酸素血症を誘発することも多く見られる.

    食事は,栄養補充のみならず,日常の生活パターンを維持し会話と環境を楽しむ大切な機会である.食事を苦痛に感じることは,抑うつ状態を誘発し,ひいては運動量減少に伴う筋萎縮を誘発,デコンディショニングを進める可能性がある.呼吸リハビリテーションは身体的,精神的そして,社会的活動を改善し,幸せな生活を送ることが最終目標である.継続できる栄養療法とは,日常の食事の中で,おいしく,手軽に,楽に,思いとともに食べることが基本である.そのために上手に加工用補助食品を使用することも有効である.

原著
  • 岡本 一紀, 金田 瑠美, 北村 朋子, 山口 清香, 岡本 香保里, 進藤 崇史, 池内 智之, 田中 雄也, 津田 徹
    原稿種別: 原著
    2017 年 27 巻 1 号 p. 36-40
    発行日: 2017/09/01
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    【背景】COPD患者の日常生活活動を把握する指標として,The Nagasaki university Respiratory ADL Questionnaire(NRADL)がある.一方,BODE indexはCOPDの予後指標とされている.今回,COPD患者のADLと予後指標との関係について検討した.

    【方法】2010年8月から2014年12月までに入院呼吸リハビリテーションプログラムを実施した患者120名をカルテより抽出し,NRADLとBODE indexとの相関関係を検討した.BODE indexから対象を4群に分類して群間比較を行った.また,BODE indexにおいて最も予後不良(7点以上)となるNRADLの点数をROC曲線にて算出した.

    【結果】NRADLとBODE indexには負の相関が認められた.BODE indexを4群に分けると,高スコアであるほどNRADLの点数は低くなっており,各群間に有意差が認められた.BODE indexが7点以上となるNRADL点数は約50点であった.

    【考察】BODE indexとNRADLの相関が認められ,NRADLの点数が低くなるほど予後不良である可能性が示唆された.NRADLの結果を基に,ADL向上を目指した呼吸リハを他職種によるチームで考えていくことが重要である.

  • 広域周波オシレーション法の意義
    新國 悦弘, 荒川 梨津子, 三浦 絵美里, 吉田 薫, 田畑 雅央, 大河内 眞也, 宮田 剛, 色川 俊也, 小川 浩正, 黒澤 一
    原稿種別: 原著
    2017 年 27 巻 1 号 p. 41-47
    発行日: 2017/09/01
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    【目的】食道癌切除再建術前と術後2週(以下,術後)の呼吸機能の変化をスパイロメトリー,広域周波オシレーション法(mfFOT)を用いて検討し,術前後の経過観察におけるmfFOTの有用性を検証する.

    【対象と方法】2012年3月から2013年3月に胸部食道癌切除再建術を実施し,術前後で呼吸機能検査が可能であった20名(男:女 16:4人,年齢±SD:66.5±5.8歳)を対象とした.呼吸機能検査はスパイロメトリーとmfFOTを行い,得られた指標の術前後の変化と相関関係について解析した.

    【結果】術後,肺活量(VC)と予備吸気量(IRV)は有意に低下した(p<0.0001).一秒量(FEV1)も有意に低下(p<0.0001),呼吸抵抗(R5, R20)は増大し(p<0.05),双方の変化量の間には有意な相関を認めた(ΔFEV1 vs ΔR5; r=-0.67, p<0.01,ΔFEV1 vs ΔR20; r=-0.45, p<0.05).

    【結論】術後はIRVに起因するVC減少とFEV1の減少を認めた.またFEV1はR5,R20と有意な負の相関関係であった.食道癌切除再建術前後の呼吸機能評価にはmfFOTが有用である可能性が示唆された.

  • 辻村 康彦, 平松 哲夫, 小島 英嗣, 田平 一行
    原稿種別: 原著
    2017 年 27 巻 1 号 p. 48-53
    発行日: 2017/09/01
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    【目的】短時間作用性β2刺激薬(SABA)によるアシストユースがCOPD患者の身体活動量に及ぼす影響を検討した.

    【対象】長時間作用性気管支拡張薬を使用しているにもかかわらず,日常生活において強い呼吸困難と活動制限があり,SABAのアシストユース未経験の男性10例.

    【方法】身体活動量の測定には加速度センサー付歩数計を用い,吸入前,吸入後4・12週で評価し比較検討した.また,息切れとHRQOLもあわせて評価した.

    【結果】アシストユースにより身体活動量は有意な向上を認めた.また,息切れやHRQOLも有意な改善を認めた.

    【考察】動作前にSABAを吸入することで得られる労作時息切れの改善により,身体活動量は向上し,HRQOLも改善したと考えられた.SABAのアシストユースはCOPD治療において考慮されるべき治療方法であることが示唆された.

  • 山田 真理, 田中 真理子, 飯塚 かおり, 阿部 博樹, 倉島 優理亜, 竹村 仁男, 原 史郎, 須賀 達夫, 青木 康弘, 前野 敏孝
    原稿種別: 原著
    2017 年 27 巻 1 号 p. 54-58
    発行日: 2017/09/01
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    慢性閉塞性肺疾患(以下,COPD)においては,在宅呼吸ケアの必要性に対する認識は高まっているものの,実際に在宅での呼吸リハビリテーション(以下,呼吸リハ)を実施している患者は少ない.在宅でCOPD患者が呼吸リハを継続して受けるためには,介護支援専門員(以下,CM)が立案する介護保険制度を用いたケアプランに呼吸リハが組み込まれる必要がある.しかし,CMの呼吸リハに対する認知度に関しての報告はみられず,当院のある埼玉県深谷市においてもその実態は不明である.そこで,当地域のCMに対し呼吸リハに関するアンケート調査を行った.その結果,CMの呼吸リハ認知度は54.8%,ケアプラン率は9.7%に過ぎず,CMの呼吸リハ認知度は低いと言わざるを得なかった.これらを踏まえ我々は,COPD患者が在宅呼吸リハを開始し継続できることを目標に,理学療法士が医師と協力してCMの呼吸リハ認知度向上のための取り組みを開始した.

  • 照井 佳乃, 岩倉 正浩, 川越 厚良, 大倉 和貴, 菅原 慶勇, 高橋 仁美, 上村 佐知子, 佐竹 將宏, 塩谷 隆信
    原稿種別: 原著
    2017 年 27 巻 1 号 p. 59-64
    発行日: 2017/09/01
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    【目的】体幹加速度から求めたLissajous Index(LI)を用いCOPD患者の歩行時体幹運動の左右対称性を評価しLIの有用性を検討した.

    【方法】対象はCOPD患者16名,健常者21名とした.3軸加速度計を腰部に装着し 10 mを2回歩行した.左右・上下加速度からLIを求め,COPD患者の呼吸機能,下肢筋力,片脚立位保持時間を測定した.COPD患者のLIの検者内信頼性と絶対的信頼性,LIと身体機能評価との関連を検討した.

    【結果】平均LIはCOPD患者34.2±19.2%,健常者21.1±14.1%で,健常者よりもCOPD患者において有意にLIが大きかった.COPD患者におけるLIの検者内信頼性が認められ,系統誤差はみられなかった.COPD患者のLIは片脚立位保持時間と有意な相関を認めた.

    【結論】COPD患者における歩行のバランス能力評価として体幹加速度波形を用いたLIの有用性が示唆された.

  • 村川 勇一, 南木 伸基, 宮崎 慎二郎, 寒川 美由紀, 堀 竜馬, 中井 友里恵, 名出 美紀
    原稿種別: 原著
    2017 年 27 巻 1 号 p. 65-69
    発行日: 2017/09/01
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    【目的】当院市中肺炎患者における入院時栄養状態がADL能力に及ぼす影響を明らかにすること.

    【方法】対象は当院へ市中肺炎の診断で入院となり,呼吸リハ介入を行いデータ収集が可能で生存退院された41名とした.調査項目は,年齢,性別,身長,体重,BMI,総入院日数,A-DROP,リハ開始日数,開始・退院時BI,BI効率,TP,Alb,Hb,経口・経腸栄養開始日数,GNRI,CONUTをカルテより後方視的に抽出した.

    【結果】栄養良好群は,不良群と比較して退院時BIも有意に高かった.また退院時BIは,TP,Alb,経口・経腸栄養開始日数,GNRI,CONUTと有意な相関関係が認められた.退院時BIに最も影響を及ぼす因子として経口・経腸栄養開始日数が抽出された.

    【結論】高齢市中肺炎患者において入院時の栄養状態を適切に評価し,早期に栄養介入をしながら呼吸リハを実施する必要がある.

  • 瀬崎 学, 星 力央, 杉原 聖子, 小池 直人, 後藤 なおみ, 石川 大輔, 影向 晃, 樋浦 徹, 牧野 真人, 木下 秀則
    原稿種別: 原著
    2017 年 27 巻 1 号 p. 70-74
    発行日: 2017/09/01
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    過去5年間での呼吸ケアサポートチーム(RST)の活動を検討した.研究期間は2011年1月から2015年12月.対象はこの間にRST介入依頼のあった242例.対象をRST介入開始期間により前期・後期の二群に分類し(前期:136例2011年1月~13年6月,後期:106例2013年7月~15年12月),二群間の成績を比較検討した.前期・後期両群間において,年齢は後期が有意に若年だったが(前期68.7歳 vs 後期61.7歳,p<0.05),性別・PF ratio・APACHE 2スコアにおいて有意差は無かった.人工呼吸器関連肺炎発生率(前期1.9% vs 後期2.0%,n.s)では有意差は見られなかったが,人工呼吸管理期間の短縮(前期10日 vs 後期9日,p<0.01)及び死亡率の改善(前期22.1% vs 後期12.3%,p<0.05)が見られた.当院RSTの活動は集中治療の変遷に伴い内容も変化し,呼吸管理・ケアの進歩が死亡率低減等にも寄与していると考える.翻って重症生存例の呼吸器離脱に難渋している事も示唆され,適切なRST介入方法を今後も検討する必要がある.

  • 八木 太門, 小林 寛明, 今瀬 玲菜, 山本 一樹, 三島 有華, 尾形 朋之, 山下 高明, 土屋 公威, 稲瀬 直彦
    原稿種別: 原著
    2017 年 27 巻 1 号 p. 75-79
    発行日: 2017/09/01
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    【目的】安定期慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease: COPD)患者において,低頻度・短時間の外来呼吸リハビリテーション(リハ)プログラムの有効性を前向きに検討した.

    【対象】2013年8月から2014年6月にJAとりで総合医療センターにて同意をえた33例を対象とした.

    【方法】週1回40分の外来運動療法を計8回施行し,前後および終了3か月後以降に評価を行い,その全行程をプログラムとした.

    【結果】26例(平均75.8歳,全例男性)がプログラムを完遂した.前後の比較で6分間歩行距離,膝伸展筋力,修正MRC息切れスケール,不安抑鬱尺度のanxietyで有意な改善を認め,終了3か月後以降でも効果は維持された.

    【考察】低頻度・短時間の外来呼吸リハは一定の有効性と効果維持が得られ,通院の負担を考慮すると施行する価値があると考えられた。

  • 田村 宏, 名和 厳, 清水 憲政, 柳 良美, 玉木 彰, 兪 陽子
    原稿種別: 原著
    2017 年 27 巻 1 号 p. 80-85
    発行日: 2017/09/01
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    【背景】高齢期の誤嚥性肺炎患者に対する呼吸管理において,排痰援助は効果的であるという報告は散見されるが排痰援助を主体に看護師と協働したものについては限定される.本研究では看護師の意識調査を基に排痰援助の共有化を図り,包括的アプローチの有用性を明らかにすることを目的とした.

    【方法】高齢期の誤嚥性肺炎患者を対象に通常の看護ケアを実施した群85名(対照群)と理学療法士より排痰援助の共有化を図り看護ケアに導入した群70名(介入群)の在院日数を比較検討した.また排痰援助の共有化を明らかにするため介入群の活動前後に病棟看護師に対して意識調査を実施した.

    【結果】在院日数は対照群に比して介入群の方が有意に短縮した.意識調査では介入群に有意な理解度の向上を認めた.

    【結論】高齢期の誤嚥性肺炎に対する排痰援助は看護師と協働して実践することで治療効果の向上が期待される重要な包括的アプローチであることが示唆された.

総説
  • 佐澤 卓哉, 林 淳一郎, 田代 祐子, 佐保 尚三
    原稿種別: 総説
    2017 年 27 巻 1 号 p. 86-89
    発行日: 2017/09/01
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    平成22年度の診療報酬改定で「呼吸ケアチーム加算」が新設され全国的に呼吸サポートチーム(respiratory support team以下,RSTとする)の設立が盛んになっている.RSTの活動は加算対象への介入だけではなく,呼吸療法に関する教育,環境整備,呼吸管理に関連したマニュアルの作成などが挙げられる.当院のRSTでは特に院内教育活動,院内ラウンド,定例会議,RST通信を利用した情報発信を行っている.「呼吸ケアチーム加算」要件に薬剤師は含まれていないが,当院では薬剤師が構成員として活動している.当院の薬剤師の活動は教育活動,院内マニュアル改定(薬剤部分),剤形変更提案,薬剤適正使用提案,ラウンド時の処方提案が挙げられ,RSTで薬剤師が活躍する場面は多い.今後もさらに薬剤師の参加によるRSTへの介入効果を明確にし,RSTの活動に寄与していく必要がある.

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