【目的】食道癌切除再建術前と術後2週(以下,術後)の呼吸機能の変化をスパイロメトリー,広域周波オシレーション法(mfFOT)を用いて検討し,術前後の経過観察におけるmfFOTの有用性を検証する.
【対象と方法】2012年3月から2013年3月に胸部食道癌切除再建術を実施し,術前後で呼吸機能検査が可能であった20名(男:女 16:4人,年齢±SD:66.5±5.8歳)を対象とした.呼吸機能検査はスパイロメトリーとmfFOTを行い,得られた指標の術前後の変化と相関関係について解析した.
【結果】術後,肺活量(VC)と予備吸気量(IRV)は有意に低下した(p<0.0001).一秒量(FEV1)も有意に低下(p<0.0001),呼吸抵抗(R5, R20)は増大し(p<0.05),双方の変化量の間には有意な相関を認めた(ΔFEV1 vs ΔR5; r=-0.67, p<0.01,ΔFEV1 vs ΔR20; r=-0.45, p<0.05).
【結論】術後はIRVに起因するVC減少とFEV1の減少を認めた.またFEV1はR5,R20と有意な負の相関関係であった.食道癌切除再建術前後の呼吸機能評価にはmfFOTが有用である可能性が示唆された.
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