2018 年 27 巻 3 号 p. 280-284
慢性呼吸器疾患の終末期患者は,耐え難い呼吸困難の苦痛だけでなく,生きがい・役割などの喪失や,他者の支援を必要とすることが増加するなか,スピリチュアルペインをふくむ全人的苦痛が生じQOLは著しく障害される.
このような終末期患者への看護ケアは,患者が心身ともに苦痛が少なく,人間としての尊厳を維持し,最期の瞬間までその人らしく生き抜くことができるように支援することである.症状緩和,意思決定支援はもちろんのこと,“生の時間”が少ない終末期患者の行動の背景には,患者の価値観に伴う切実な思いがあること,自律に伴う行動を懸命に行うことが患者にとっての生きる意味であることを理解し,チームで支えることが重要である.