歩行者が道路を横断できるかどうかの判断には、接近する車両までの「距離」と「速度」が影響する。この 2 変量で表される 2 次元領域について、横断できると思える領域が広いことが横断者の利便性にとって望ましいと考えられる。本研究では、横断歩道があることで、「横断できると思える領域」は広がるとの仮説を検証した。加えて、この領域が広がるのであれば、それが不安全な横断に結び付いているかを横断行動の特徴から考察した。ステレオカメラシステムを搭載した車両を走行させながらの観測によって得た約 200 件の横断事象を分析した結果、横断歩道では「横断できると思える領域」が広がっていることが明らかになった。また、この領域が広がることによって不安全な横断が生じている傾向は確認されなかった。