高齢化している呼吸器疾患患者において認知症,尿失禁,転倒などの老年症候群とともにサルコペニア,フレイルの合併が多くなってきている.特にCOPD患者においては息切れなどによる運動制限や慢性炎症から身体機能が低下しやすく,サルコペニア,フレイルの合併頻度が高い.同時にこれらの合併症はCOPD患者の予後に影響を与える.これらの病態は高齢者において合併しやすいが,COPD患者においてはより若年期からの合併の有無についてスクリーニングを行うとともに適切な予防策を講じることが求められる.すなわち,呼吸器疾患の管理とともに適切な栄養療法,運動療法を継続することが老年期におけるサルコペニア,フレイルの予防につながり,ひいては呼吸器疾患患者の予後の改善につながる.本稿ではサルコペニア,フレイルの概念を概説し,呼吸器疾患患者において問題となりつつあるこれらの病態に対する対処法について述べたい.