【目的】咳嗽およびハフィング時の体幹屈伸運動の有無が呼気流速に与える影響を検討する.
【方法】健常成人男性20名を対象に,椅子座位にて体幹直立位で固定した方法,体幹直立位から体幹の屈伸運動を許可した方法の双方で咳嗽とハフィングを行い,咳嗽時最大呼気流速(PCF)とハフィング時最大呼気流速(PHF)を測定した.また,胸郭拡張差と体幹可動域も測定した.
【結果】体幹屈伸運動を許可した方法でPCF・PHFともに,直立位で固定した方法よりも高値を示した(p<0.01).また,各方法間の呼気流速の差と体幹可動域,胸郭拡張率には相関を認めなかった.
【考察と結論】体幹伸展によって呼気筋群が伸張され,長さ-張力関係から胸腔内圧が高まることでPCF・PHFは高値を示したと考えられる.よって,咳嗽力測定時や気道クリアランス時には体幹屈伸運動を許可することで,より最大の機能が発揮されることが考えられた.