日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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原著
喫煙者の肺がんCT検診における,呼吸機能と気腫性変化,冠動脈石灰化との関係
篠田 千恵和田 攻長澤 千和
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2020 年 28 巻 3 号 p. 456-461

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抄録

【背景と目的】肺がんCT検診はがんの早期発見を目的として実施されるが,肺の気腫性変化のほか,冠動脈石灰化も定量的に評価することができる.しかし,現在のところ両者について同時に検討した報告はない.今回,「肺がん心臓CT検診」を喫煙男性を対象に実施し,呼吸機能と気腫性変化,冠動脈石灰化の関係について検討した.

【対象】40歳から70歳の喫煙男性46名.

【方法】胸部CTと心臓CTを撮影し,気腫性変化と冠動脈石灰化スコアを算出した.併せてスパイロメトリーを実施した.

【結果】一秒率70%未満の気流制限をみとめたものは28%だった.また高度の冠動脈石灰化を認めたものが37%だった.気流制限をみとめたものの76%に高度の冠動脈石灰化がみられた.冠動脈石灰化に関係する要因をロジステイック回帰分析で検討したところ,年齢と70%未満の気流制限が独立した要因であった.

【結語】冠動脈疾患発症の高リスクとなる冠動脈石灰化は,気流制限のある喫煙者から抽出が可能だった.

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© 2020 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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