日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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ワークショップ
認知症の人びとの不安
―声なき声をキャッチするためには―
桑田 美代子
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2020 年 29 巻 1 号 p. 34-37

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抄録

認知症とは,「一度正常なレベルまで達した精神機能が,何らかの脳障害により,回復不可能な形で損なわれた状態」をいう.認知症の症状には記憶障害や実行機能障害からなる中核症状と,中核症状に伴って生活上支障をもたらす認知症の心理症状・行動障害がある.認知症の人達は,周りを困らせたいわけではなく,中核症状により心身の辛さ,不安に対し,それを他者に理解してもらえない苦悩の中にいる.その認知症の人の不安に注目し,行動を紐解く能力がケアする側に求められる.認知症の人達の不安をキャッチするためには,認知症に関する知識を身に付ける必要がある.また,認知症ケアは,一人のスペシャリストが存在すれば質の高いケアが提供できるかといえば,そうではない.“自分だったら…”と相手の立場を考えるケアリングを基盤とした態度や日常倫理が大切になる.

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© 2020 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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