日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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共同企画
誤嚥性肺炎を予防する
野原 幹司
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2020 年 29 巻 1 号 p. 78-80

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抄録

超高齢社会をむかえた日本においては,高齢者の肺炎,中でも誤嚥性肺炎の予防と対策が大きな課題となっている.そのような情勢を踏まえて,2017年に「成人肺炎診療ガイドライン2017」が作成された1).このガイドラインの最大のポイントは,繰り返す誤嚥性肺炎や終末期の肺炎などに対して踏み込んだ内容となっている点とされている.ガイドライン自体は非常に分かりやすく実践的にまとめられており,治療方針決定に有用であるということに疑いはない.しかし,嚥下障害や誤嚥を専門とする筆者にとっては気になる点が一つあった.ガイドラインの冒頭に「本ガイドラインでは感染症以外の肺炎・肺臓炎等は取り扱わない」と明記されていることである.誤嚥性肺炎や終末期の肺炎を取り上げているにも関わらず感染症による肺炎のみを扱うというのは,高齢者の「いわゆる」誤嚥性肺炎を診ている医療者に誤解を与えかねない.はじめに「いわゆる」誤嚥性肺炎と診断されていた症例の経過を提示したい.

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© 2020 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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