2020 年 29 巻 2 号 p. 299-303
【背景】慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対する軽度認知障害(MCI)の有病率や諸項目との関連については不明な点が多い.
【対象と方法】外来COPD 82例を対象とし,軽度認知障害スクリーニング検査(MoCA-J)を用いてMCIの判定を行った.
【結果】COPDのMCI有病率は65.8%であった.MoCA-Jと年齢,mMRC,MNA,TUG,ISWT,NRADL,LSAにr=0.4以上の有意な相関が認められた.MoCA-Jの影響因子を抽出した結果,ISWT,年齢,LSA(R=0.67)に強い関連がみられた.また,MoCA-Jと患者教育情報ツール(LINQ)にr=0.54の有意な相関が認められた.
【考察】COPDにMCIは多数併存者が存在した.MCIの要因として,特に運動耐容能や生活範囲が影響していることが示唆された.さらにMCIは患者教育に悪影響を与えることが示唆された.