2021 年 29 巻 3 号 p. 403-406
高齢者ケア施設で生活する高齢者は年々増加しており,「終のすみか」として,施設内でのEOLケアの推進と質の向上が求められる.
高齢者は,非がん疾患で死亡する割合が高く予後予測が困難な上に,EOLでは認知症により意思決定能力を失っている場合も多いため,その人に適切にEOLケアを提供する一助となるACPが重要である.
そこで,ある有料老人ホームにおいて,要介護認定者を対象にACPを促進するための“EOLケアツール”の開発・導入を,大学の研究者と現場の実践者で共同して取り組んだ.ツールの活用が有料老人ホームの業務として定着するよう,ツールの評価と改善を継続することが重要である.また,将来的には,入居者の大半を占める自立高齢者を対象とした意思決定支援ツールの開発も必要と考える.