COPDにおいて動的肺過膨張は労作時息切れおよび運動能力を規定する重要な因子の1つであり,特に肺過膨張が顕著な患者や気腫優位型COPDにおいて重要な因子である.しかし,動的肺過膨張は患者に運動負荷をおこない,経時的に最大吸気量を測定し,その減少量で評価される.測定には高価な設備と機器が必要であり,日常の臨床においてはほとんど評価されていない.そこで我々は動的肺過膨張が呼吸数の増加に依存することから,運動負荷はおこなわず,段階的に呼吸数を増加させる過呼吸法により動的肺過膨張を定量的に評価できる方法とその有用性を報告し,専用のスパイロメーターを開発した.従来法と過呼吸法との間には極めて良好な相関があり,運動耐容能を予測することも可能である.日常診療で簡単に動的肺過膨張が評価できるため,気流閉塞のみならず動的肺過膨張に対する治療効果の評価が可能となる.