2021 年 29 巻 3 号 p. 436-440
COPDに併発する悪性腫瘍には,喫煙関連疾患である肺癌や食道癌など,呼吸器および消化器領域の癌が含まれる.胸部や腹部の手術に際して,COPDの併存は術後の死亡や呼吸器感染症など術後合併症のリスク因子となる.術後離床を促進し,合併症を防止するために,周術期リハビリテーションが重要な役割を果たしている.術後の合併症リスクを予測し,リハビリテーションを効率よく進めるために,術前に身体機能を評価することが重要となる.術前の運動耐容能を把握する手法として,6分間歩行試験は簡便かつ有用な評価法と期待される.COPDに対する長時間作用性抗コリン薬および長時間作用性β2刺激薬を中心とする気管支拡張薬治療,術前評価としての身体機能評価を含めた,集学的な周術期リハビリテーションプログラムの確立が望まれる.