日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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Print ISSN : 1881-7319
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原著
在宅酸素療法患者の再入院予防の看護に関する研究
―肺結核後遺症の再入院過程の分析から―
深野木 智子関澤 康子石井 麻里川村 佐和子
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1993 年 3 巻 2 号 p. 91-96

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抄録

在宅酸素療法(以下HOT)継続例の再入院にいたる過程および,その頻度に関連する要因ならびに,再入院を防ぐための看護ケアの明確化を目的に,成人HOT患者26名(男13名,女13名)の記録物および家庭訪問調査を行い,以下の知見を得た.

1) 対象の全再入院回数は延べ59回で,HOT期間に相関してその回数が増していた.入院理由の74.6%は「気道感染による急性増悪」で,初回入院では94.7%を占めていた.

2) 69.2%は再入院前に増悪兆候を捉え,39.0%が対処行動をとり,求めた援助では病院保健婦への電話相談が40.7%で最も多かった.

3) 肺結核後遺症の延べ28回の再入院の分析から,再入院の頻度に関連する要因として,HOT導入時年齢,日常生活のセルフコントロール状態,日常行動範囲の関与が示唆された.

4) 3) の対象の再入院過程のクラスター分析により,対症は4群に分割された.A群へは増悪兆候と受診のタイミングを本人・家族が判断でき,早期に受診できる看護を行うこと,B群へは家族を中心とした感染予防教育の強化,C群へは家庭訪問による継続的呼吸器リハビリと身体状況の観察などの看護,D群へは在宅と入院の橋渡しの看護ケアを行う,がおのおの再入院を予防する手段になりうると考えられた.

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© 1993 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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