2021 年 30 巻 1 号 p. 1-7
Pedersenらは,運動時および運動後に血中interleukin-6(IL-6)濃度の増加が起こることを発見し,骨格筋の分泌臓器としての働きを初めて提唱した.ヒト筋芽細胞由来の培養骨格筋のセクレトーム解析から,IL-6のみならず300を超える分泌蛋白質が検出されており,オートクライン・パラクラインあるいはホルモンとして遠隔標的臓器に作用する蛋白質として,総称してマイオカイン(ミオカイン)と称されることとなったが,その機能についてはまだ解明の途上にある.
慢性閉塞性肺疾患(COPD)では,労作時呼吸困難などを避ける生活様式から身体活動性の低下が生じる.COPDでは身体活動性の低下は重要な生命予後因子であり,また種々の合併症の原因となる.本稿では,骨格筋のバイオロジーからマイオカインを介した全身への影響の知見を概説し,身体活動性の重要性について共有する.