日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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ISSN-L : 1881-7319
30 巻, 1 号
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教育講演
  • 浅井 一久, 西村 美沙子, 中濵 賢治, 吉井 直子
    原稿種別: 教育講演
    2021 年 30 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/25
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    Pedersenらは,運動時および運動後に血中interleukin-6(IL-6)濃度の増加が起こることを発見し,骨格筋の分泌臓器としての働きを初めて提唱した.ヒト筋芽細胞由来の培養骨格筋のセクレトーム解析から,IL-6のみならず300を超える分泌蛋白質が検出されており,オートクライン・パラクラインあるいはホルモンとして遠隔標的臓器に作用する蛋白質として,総称してマイオカイン(ミオカイン)と称されることとなったが,その機能についてはまだ解明の途上にある.

    慢性閉塞性肺疾患(COPD)では,労作時呼吸困難などを避ける生活様式から身体活動性の低下が生じる.COPDでは身体活動性の低下は重要な生命予後因子であり,また種々の合併症の原因となる.本稿では,骨格筋のバイオロジーからマイオカインを介した全身への影響の知見を概説し,身体活動性の重要性について共有する.

シンポジウム
  • 高橋 仁美, 塩谷 隆信
    原稿種別: シンポジウム
    2021 年 30 巻 1 号 p. 8-12
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/25
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    日本への呼吸リハビリテーション導入のきっかけは,スウェーデンに留学した島尾忠男氏がストックホルム市立結核病院で理学療法に遭遇したことによる.彼は1956年にスウェーデンで発行された“Sjukgymnastik vid lungtuberkulos”を翻訳し,1957年に「肺機能訓練療法」と題して刊行した.これは,日本初の理学療法士・作業療法士養成校の開校(1963年)以前の出来事である.またこの養成校開校の頃には,九州労災病院内科の津田稔氏らにより,慢性肺気腫に対して今で言う運動療法や作業療法プログラムが実施されていた.そして,2006年に診療報酬で「呼吸器リハビリテーション料」が新設されて,呼吸リハビリテーションは充実していくことになる.我々には,COPDなどの病気を持った高齢者一人ひとりの価値観を尊重しながら,介護予防の視点をもって,生活の場にリハビリテーション医療を提供していくことが求められる.呼吸リハビリテーションの実践そのものが,健康寿命の延伸に繋がると考える.

  • ―健康寿命延伸のための取り組み―
    川越 厚良, 柴田 和幸, 渡邊 暢, 佐川 亮一, 原田 郁, 菅原 慶勇, 高橋 仁美, 長谷川 傑, 円山 啓司, 塩谷 隆信
    原稿種別: シンポジウム
    2021 年 30 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/25
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    病院における呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)の役割は様々である.当院では救命を前提とした超急性期医療における呼吸リハ,そして急性期症状を脱した亜急性期および外来における安定期の呼吸リハを提供している.急性期においては,救命後の長期予後に関わる重要な責務を担っており,平成30年度の診療改訂における集中治療室の早期離床・リハビリテーション加算の新設は,当に救命治療の最中における予後不良因子の問題解決を主要な目的としている.安定期における役割は,機能面・活動性向上による生活の質の改善,並びに外来における定期的な評価による状態把握と増悪に対する早期対応が求められる.呼吸リハを提供できる施設がまだ十分ではない昨今において,病院と地域における相互の連携・情報共有(病院-地域間連携)を密接に行い,必要とする患者さんにシームレスな医療を継続していくことも,健康寿命延伸を目指した超高齢化社会の課題である.

  • 金子 弘美, 石橋 由里子, 山中 悠紀, 大平 峰子, 石川 朗
    原稿種別: シンポジウム
    2021 年 30 巻 1 号 p. 20-22
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/25
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    少子高齢社会を迎える我が国において必要な医療・介護サービスを確保していくためには限られた医療・介護資源を有効に活用する必要がある.北信ながいき呼吸体操研究会は長野県北信地域において在宅呼吸リハビリテーションの実践と普及のための活動を行うなかで地域連携の在り方を模索してきた.在宅での呼吸リハビリテーションは継続が要であり,そのためには患者を支える医療・介護の関係機関が連携し,共通認識を持って効果的かつ効率的な支援・サービスを行うことができる体制を構築することが重要である.

  • 長 澄人, 田坂 定智
    原稿種別: シンポジウム
    2021 年 30 巻 1 号 p. 23
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/25
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  • ―どのように聴くか,なぜそう聴くのか―
    長坂 行雄
    原稿種別: シンポジウム
    2021 年 30 巻 1 号 p. 24-29
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/25
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    肺音は呼吸に伴って胸部で聴こえる音の総称で,正常で聴かれる呼吸音と,それ以外の副雑音に分けられる.副雑音の中で肺から発生する副雑音をラ音と呼ぶ.肺音は心音よりもずっと高音なので,聴診器をしっかり押し付けて聴く.また,呼吸音やウィーズは,一定以上の気流速度にならなければ発生せず,クラックルは一定以上の肺容量にならなければ発生しない.このため,少し大きく息をさせて聴く.

    ルーチンの聴診部位を決めて,どこにどのような所見が出やすいかを考えて聴診する.モノフォニック・ウィーズは治療への反応がよく,ポリフォニック・ウィーズは全身的なステロイド投与が必要である.また,前胸部の下部で鼻炎のときに副雑音がよく聴かれる.肺底部ではクラックルがよく聴かれる.両側であれば間質性肺炎,右であれば誤嚥性肺炎,左は人工呼吸中の肺炎の可能性が高い.肺音の発生メカニズムや音の伝播を知り,用語を理解することが求められる.

  • 陳 和夫, 小川 浩正
    原稿種別: シンポジウム
    2021 年 30 巻 1 号 p. 30-32
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/25
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    第28回呼吸ケアリハビリテーション学会のシンポジウム4の「睡眠呼吸障害治療の新展開」にて,5つの演題が発表された.一般社会の大型コホートにおける睡眠呼吸障害の疫学,中枢性睡眠時無呼吸治療の現状,CPAP療法における遠隔モニタリングシステムの導入,慢性呼吸不全患者の睡眠剤使用と血液ガスの問題,COPDの睡眠呼吸障害に対するハイフローとNPPV療法についてなど,近年の睡眠呼吸障害領域の諸問題について幅広く発表され,討議された.発表の多くが過去,現状の成績ばかりでなく,自施設での臨床研究に基づいての報告も入っており,非常に有意義な発表であり,明日からの臨床に役立つシンポジウムであったと考えられた.また,睡眠時無呼吸のみでなく,睡眠関連低換気障害も考慮しての呼吸管理が重要であることが認識されたシンポジウムであった.

  • 松本 健, 陳 和夫
    原稿種別: シンポジウム
    2021 年 30 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/25
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    睡眠呼吸障害は高血圧や糖尿病との関連から近年注目を集めているが,本邦のデータは不足していた.そこで我々は,地域住民を対象としたながはまコホートの参加者を対象に,7,000人を越える客観的な睡眠時間,睡眠呼吸障害のデータを収集し,相互の関係や生活習慣病との関連を検討した.睡眠呼吸障害の頻度は明確な性差が認められ,男性23.7%,閉経後女性9.5%,閉経前女性1.5%に中等症以上の睡眠呼吸障害を認めた.そして睡眠呼吸障害が重症化すると睡眠時間が短くなっていた.また,睡眠呼吸障害は男女とも高血圧に関連しており,その重症度が高くなるにつれて関連度が高くなったが,糖尿病に関しては女性においてのみ関連していた.特に閉経前女性においては,中等症以上の睡眠呼吸障害があると糖尿病との関連度が28倍と著明に高くなっていた.さらに,高血圧や糖尿病に対する肥満の関与は睡眠呼吸障害により約20%間接的に媒介されており,性差が認められた.

  • 佐藤 彰洋, 松本 紘毅, 葛西 隆敏
    原稿種別: シンポジウム
    2021 年 30 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/25
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    睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome: SAS)は,閉塞性睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea: OSA)と中枢性睡眠時無呼吸症候群(Central Sleep Apnea: CSA)とに分けられる.一般的にSASといえばOSAであるが,循環器疾患,特に心不全(heart failure: HF)患者ではCSAを高率に合併し,予後悪化と関連することが知られている.CSAを抑制する治療により短期的な心機能の改善が得られることや,十分に抑制効果が得られた場合では長期予後の改善につながる可能性があることが示されてきた.一方,CSAの最も有効な治療として適応補助換気(Adaptive Servo Ventilation: ASV)が普及し,2015年にそれを用いた大規模臨床試験であるSERVE-HF試験の結果が発表されたが,ASVによる予後改善効果は認められず,副次評価項目である心血管死,総死亡がASVによって増加する可能性が示され,大きな問題になった.本稿ではCSAの疫学や病態,これまでのCSA治療についてまとめるとともに,現状の治療方針と今後の可能性について言及する.

  • 茆原 雄一
    原稿種別: シンポジウム
    2021 年 30 巻 1 号 p. 45-48
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/25
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    長期NPPV導入後に患者の生命予後を決定する因子として導入数ヶ月後のPaCO2の重要性が明らかになってきている.

    高PaCO2血症がある患者は昼間の眠気など自覚症状が強いと考えられがちであるが,我々の研究では患者の自覚症状と日中のPaCO2値が関連しないことが判明し,慢性呼吸不全患者の呼吸管理には血液ガスの測定が不可欠であることが明らかになった.

    長期NPPV症例における日中の自発呼吸下の酸素投与量に関してはガイドラインにも明記されていない.自験例の解析で,比較的多めの酸素投与で日中のPaO2を高めに保った患者群で生命予後が良いとの結果が得られた.

    長期酸素療法使用慢性呼吸不全患者における呼吸リハビリテーションにおいて,ネーザルハイフローを併用するとリハビリテーション中の低酸素を予防し運動耐容能を改善することが可能であった.

  • 玉木 彰, 小泉 美緒
    原稿種別: シンポジウム
    2021 年 30 巻 1 号 p. 49-52
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/25
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    慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease; COPD)は単なる呼吸器疾患ではなく,多くの併存症を有する全身性疾患として捉えられており,中でも骨格筋機能障害は身体機能だけでなく生命予後にも関わる問題であると考えられている.

    COPDではタイプI線維(遅筋線維)が減少し,タイプII線維(速筋線維)が増加するという筋線維タイプの変化が生じることが分かっているが,高齢者が多い本邦のCOPD患者ではタイプI線維,タイプII線維ともに筋萎縮が著明となっているため筋力トレーニングが重要となる.しかし高齢で呼吸困難が強い重度のCOPD患者に対し,特にタイプII線維を強化するための高負荷でのトレーニングは困難である場合が多い.

    神経筋電気刺激(NMES)は,筋を収縮させる際に脳からの指令を介さずに直接運動神経を刺激することで,他動的に筋収縮を誘発させるものであり,近年,重症COPD患者に対するNMESの効果に関する多くの研究が報告されている.

  • 一場 友実, 宮川 哲夫, 津田 徹, 解良 武士
    原稿種別: シンポジウム
    2021 年 30 巻 1 号 p. 53-58
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/25
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    COPDの呼吸困難をいかに軽減させるかは呼吸リハビリテーションにおいて重要な課題の一つである.呼吸困難とは動的・静的を含め呼吸運動に伴い生じる呼吸の不快感という感覚であり,予後を決定する因子といわれている.呼吸困難を認識するのは呼吸の負荷量そのものではなく,その時変化する呼吸中枢出力を認識するということである.この呼吸中枢出力の指標として気道閉塞圧(P0.1)がある.P0.1とは口腔内圧が陰圧に転じてから 100 ms後に得られる口腔内圧の値のことであり,呼吸中枢活動が活発になると高値を示す.

    COPDを対象にリラクセーション肢位でのP0.1,そして安静・運動時での呼吸介助併用におけるP0.1測定,さらに2ヶ月間の吸気筋トレーニング前後でのP0.1測定を実施し,呼吸機能との関連について検討を行ったので報告する.

  • 川越 厚良, 古川 大, 岩倉 正浩, 大倉 和貴, 菅原 慶勇, 高橋 仁美, 塩谷 隆信
    原稿種別: シンポジウム
    2021 年 30 巻 1 号 p. 59-64
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/25
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    慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の主症状は呼吸困難であり,身体機能低下を伴う予後の不良へと導く悪循環が形成されることは周知の事実である.その悪循環には日常生活の中の身体活動量(PA)という因子も深く関わっており,患者診療における評価・治療・管理の面で非常に重要な柱になっている.PAの管理が,予後を見通す重要な因子になることから,様々な取組によるPAへの介入方法が検討されてきており,PAの改善が予後に与えうる影響を解明することも今後の課題になりうる.一方,吸気筋トレーニング(IMT)は未だにエビデンスレベルは低いものの,テクノロジーの進化に伴う新たなデバイスの発展により,その効果について再び脚光を浴びつつある.本稿では,PAに対する介入方法と影響因子,新たな負荷様式を備えたデバイスによるIMTの効果,そして両者の関連性を含め,IMTがCOPD患者のPAに影響する可能性について提言したい.

総説
  • 天尾 理恵, 安樂 真樹, 佐藤 雅昭, 波多野 将, 牧 尚孝, 根本 真理子, 遠藤 美代子, 中島 淳, 篠田 裕介, 芳賀 信彦
    原稿種別: 総説
    2021 年 30 巻 1 号 p. 65-70
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/25
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    当院は2015年4月より肺移植術を開始し,2018年5月現在,20名に移植術を実施している.これまで理学療法士(PT)は臓器移植患者へのリハビリテーション介入を行ってきた.肺移植候補患者にもPTが介入しており,術前より呼吸機能,身体機能,QOLなどの評価を実施している.

    当院では肺高血圧症(PH)外来が開設されている背景もあり,移植登録患者の約2割の患者の原疾患がPHであることが特徴の一つである.他の疾患患者と比較し,術前後のリハビリテーションの介入・進行は一様ではない印象がある.PH患者の治療は,使用可能な薬剤が増加したことで予後は改善傾向にあるが,移植を検討する重症PH患者のリハビリテーションについては明確な指標がないのが現状であり,当院でも症例に応じて対応している.

    本稿では,これまで経験したPH肺移植候補患者への介入の実際,身体機能の特徴やADL,QOLの状況をまとめて報告する.

  • 安藤 守秀
    原稿種別: 総説
    2021 年 30 巻 1 号 p. 71-76
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/25
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    私達日本呼吸ケア・リハビリテーション学会保険報酬適正化委員会は平成30年度の診療報酬改訂に際して,集中治療における早期リハビリテーションの保険適応を申請した.そして特定集中治療室に対する室料加算の形で「早期離床・リハビリテーション加算」を得ることができた.この加算は従来のリハビリテーションの枠組みとは異なり医師・看護師および理学療法士または作業療法士によるチームの取り組みに対する加算であり,リハの実施頻度や実施者を問わないところに大きな特徴がある.集中治療における早期リハビリテーションは重篤な筋力低下やせん妄など集中治療に関連した重篤な合併症を予防・軽減し,人工呼吸管理期間を短縮することが既に証明されている.また集中治療室在室日数を短縮する可能性も示されている.この加算が認められたことを契機に我が国で集中治療室における早期リハビリテーションが普及していくことを私達は期待している.

原著
  • 大久保 侑衣, 森下 辰也, 陶山 和晃, 北川 知佳, 津田 徹, 城石 涼太, 宇都宮 嘉明, 田中 貴子, 石松 祐二, 神津 玲
    原稿種別: 原著
    2021 年 30 巻 1 号 p. 77-82
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/25
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    【目的】安定期慢性閉塞性肺疾患患者を対象に,食欲の実態を調査し,食事環境および関連因子との関係性を明らかにすること.

    【方法】食欲,食事環境(家族構成,食事状況,食事内容),身体機能,呼吸機能,呼吸困難,生活の質,精神・心理状態,栄養状態,摂食嚥下機能を調査し,食欲低下群と非低下群に分類した.両群間で各項目について比較検討し,食欲低下に関連する因子について多変量解析を行った.

    【結果】93例が解析対象となった.食欲低下群は44例(47%),食事環境では,独居,孤食の者で食欲低下群の占める割合が高かった.また,食欲低下群では,握力,栄養状態,摂食嚥下機能が有意に低く,食事中の呼吸困難が有意に高値を示した.多変量解析の結果,食事中の呼吸困難と栄養状態が有意な因子として抽出された.

    【結語】47%が食欲低下群に分類され,食事中の呼吸困難と栄養状態が食欲低下に関連する因子であった.

  • 森 広輔, 髻谷 満, 今井 宏太, 菅野 寛子, 稲垣 武, 河野 純子, 本田 憲胤, 藤原 耕三, 千住 秀明
    原稿種別: 原著
    2021 年 30 巻 1 号 p. 83-88
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/25
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    【背景と目的】近年,COPDの啓発活動として,肺年齢測定会が開催されている.しかし,一般市民を対象とした肺年齢測定会により,対象者がCOPDの理解を得られるかは明らかにされていない.本研究の目的は,一般市民を対象とした肺年齢測定会により対象者がCOPDの理解を得られるか,さらに理解が得られない対象者の特性を明らかにすることである.

    【対象と方法】2018年5月から2019年2月に開催された肺年齢測定会に参加した2036名に対し,肺年齢の提示およびCOPDの説明の後,COPDの理解度についてアンケート調査を行った.

    【結果】1887名(92.7%)がCOPDを理解することが可能であった.理解が得られなかった対象者の特徴は“60歳以上”,COPDを“知らない”,および肺年齢の感想が“わからない”であった.

    【結語】一般市民を対象とした肺年齢測定会により,対象者はCOPDを理解することが可能である.

  • 川内 翔平, 藤本 圭作
    原稿種別: 原著
    2021 年 30 巻 1 号 p. 89-95
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/25
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    背景:我々は携帯型酸素濃縮器(以下POC)の小型軽量化をおこなってきた.開発したPOC試作1号機と2号機が現在販売されている従来機と同等の酸素化効果があるかを明らかにする.

    方法:運動誘発性低酸素血症の者を対象とし,POC試作機(190×60×200 mm,1,850 g,バッテリー除く)と従来機の無作為交叉試験で,2 L/分相当の酸素が供給される呼吸同調設定で定常運動負荷試験を行い,SpO2を比較した.一呼吸あたりの酸素吐出量はPOC試作1号機で 17.0 ml,POC試作2号機で 28.5 mlとした.

    結果:従来機とPOC試作1号機の比較では運動時最低SpO2は従来機が有意に高値であった.16名を対象としたPOC試作2号機の比較では運動時最低SpO2の差は-1.04±2.6%と従来機と同程度であった.

    結論:開発した小型軽量POCは従来機と同等の効果を有し,酸素化に吐出量が影響することが明らかになった.

  • 秋山 歩夢, 辻村 康彦, 三川 浩太郎, 伊藤 光, 後藤 圭子, 酒井 美登子, 平松 哲夫
    原稿種別: 原著
    2021 年 30 巻 1 号 p. 96-101
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/25
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    【目的】外来COPD患者の睡眠障害の現状を調査し,睡眠障害が臨床指標に及ぼす影響を明らかにすること.

    【対象と方法】対象はCOPD患者126名.GOLD重症度分類I/II/III/IV:46/47/23/10(名).評価項目はピッツバーグ睡眠質問票(PSQI),歩数,6分間歩行距離(6MWD),COPD Assessment Test(CAT),息切れ問診票,老年期うつ病評価尺度(GDS-15-J)とした.検討内容は①睡眠障害を認める患者割合,②睡眠障害と疾患重症度,うつとの関係性,③睡眠障害の有無における各臨床指標を検討した.

    【結果】睡眠障害は全体の35.7%に認め,疾患重症度やうつとの関係性を認めた.睡眠障害を有する患者は歩数,6MWDが低く,CAT,息切れ問診票の得点が高かった.

    【結論】睡眠障害は疾患重症度の早い段階から認められ,身体機能,身体活動性,精神面にも影響を及ぼすことが明らかになった.

  • 渡邉 彰, 楠 啓輔, 川上 真由, 大野 静香, 佐藤 千賀, 伊東 亮治, 阿部 聖裕
    原稿種別: 原著
    2021 年 30 巻 1 号 p. 102-108
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/25
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    【目的】呼気終末二酸化炭素分圧(PETCO2)測定装置であるカプノアイ®の有用性を検討した.

    【方法】入院患者50名を対象とし,動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)およびPETCO2を測定し比較検討した.またカプノアイ®の忍容性を質問票にて調査した.

    【結果】PaCO2は29.4-75.8 torr(中央値42.9),PETCO2は21-72 torr(中央値35)であり,良好な相関を示した(r=0.75).高炭酸ガス血症に対するPETCO2のカットオフ値は37 torrであった(感度86%,特異度79%).PaCO2とPETCO2との差は測定時の呼吸数と有意に正の相関を示した(r=0.55).患者の80%がカプノアイ®は「全く苦しくない」と回答した.

    【結語】カプノアイ®の忍容性は高く,測定値はPaCO2と良好な相関を示した.呼吸数はPaCO2とPETCO2との差に影響するため注意を要する.

  • 守川 恵助, 田平 一行, 武村 裕之, 稲葉 匠吾, 楠木 晴香, 橋爪 裕, 鈴木 優太, 天白 陽介, 畑地 治
    原稿種別: 原著
    2021 年 30 巻 1 号 p. 109-114
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/25
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    目的:本研究は慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者のエネルギー必要量(EER)の推定式を作成し,その妥当性について検討することを目的とする.

    方法:対象はCOPD急性増悪の診断で入院し,間接熱量測定を実施した96名を対象とした.安静時エネルギー消費量(REE)に1.5を乗じた値を実測推定エネルギー必要量(mEER)とした.mEERの回帰モデル式を作成し,mEER推定式の妥当性の検討にはmEERの回帰モデル式から算出した予測推定エネルギー必要量(pEER),Harris-Bendict式から算出した予測推定エネルギー必要量(pEERHB)とmEERの系統誤差と妥当性の検討をBland-Altman解析を用いて実施した.

    結果:回帰モデル式はpEER=1994.1+22.0×体重-16.0×年齢となった.pEERとmEERに系統誤差は認めず,一致度は82.4%であった.pEERHBとmEERとの間には加算誤差を認め,一致度は64.7%であった.

    結論:本研究で作成したCOPD患者のmEERの推定式は,pEER=1994.1+22.0×体重-16.0×年齢であり,pEERはpEERHBと比較して信頼性が高く,誤差が少ないことが示唆された.

  • 山下 裕, 安田 勇士, 高木 清仁, 岡嵜 誉, 會津 恵司, 山口 竜三, 田平 一行
    原稿種別: 原著
    2021 年 30 巻 1 号 p. 115-120
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/25
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    本研究の目的は,高齢患者における待機的胃・大腸癌術後合併症の術前予測因子を調査することである.

    本研究は後方視的観察研究とし,待機的に手術を施行した65歳以上の胃および大腸癌患者243例を解析対象とした.術前に身体組成,身体能力等を評価し,術中所見および術後合併症の詳細は診療録より抽出した.多重ロジスティック回帰分析を用いて術後合併症発症に独立して関連する因子を解析した.

    サルコペニア(odds ratio 2.98,95%信頼区間 1.27-7.00,p=0.01),癌の病理組織学的ステージ(odds ratio 2.97,95%信頼区間 1.51-5.85,p<0.01)が術後合併症の独立した予測因子として抽出された.

    待機的胃・大腸癌術前患者におけるサルコペニアの有無は,術前情報として多職種で共有し,必要に応じて治療法の検討に役立てることで,患者の転帰に寄与するかもしれない.

症例報告
  • 兼岡 麻子, 長谷川 真人, 安井 健, 大木 孝裕, 佐藤 拓, 長山 和弘, 佐藤 雅昭, 芳賀 信彦
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 30 巻 1 号 p. 121-124
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/25
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    肺移植後の嚥下障害に対するリハビリテーションの報告はほとんどない.今回,肺移植後に重度嚥下障害を呈した患者に嚥下動態に着目したリハビリテーションを行ったところ,嚥下機能は改善し,経口摂取が可能となったので報告する.患者は54歳,男性.骨髄移植術後肺障害による慢性呼吸不全に対し,右片肺移植術を施行された.術後,再挿管され人工呼吸器管理となり,気管切開術を施行された.人工呼吸器離脱後,嚥下評価において不顕性誤嚥を認め,重度嚥下障害と診断された.呼吸・嚥下リハビリテーションを行い,胃瘻造設を経て経口摂取訓練を開始した.約6ケ月の経過で嚥下機能は改善し,経口摂取が可能となり,日常生活動作は自立し退院した.本患者の嚥下障害は,嚥下関連筋群の著しい筋力低下や咽喉頭・気管の感覚低下などにより生じ,嚥下動態に応じた長期的なリハビリテーションが機能改善に寄与したと考えられた.

  • 垣内 優芳, 大政 貢
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 30 巻 1 号 p. 125-127
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/25
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    重症筋無力症(MG)はしばしば胸腺腫を合併するが,MG合併胸腺腫に対する胸腺摘出後はMG急性増悪(クリーゼ)により重篤な呼吸不全を発症することがあり,術後クリーゼの早期発見・治療が重要である.今回,MG合併胸腺腫に対する胸腺摘出術で入院した67歳女性を担当し,周術期における最長発声持続時間の経時的推移をMGに対する標準的検査とともに測定した.最長発声持続時間は術後1日に低下後は改善して術後6日に術前値まで回復したが,術後7日に再低下しクリーゼと診断された.ステロイドパルス療法後から再度改善し,MG重症度スケールのMG-ADL(MG Activities of Daily Living)も同様に変動した.最長発声持続時間は,嚥下・発声・呼吸・咳嗽機能を総合的に評価している可能性が示唆され,手術前後の定期的測定は,クリーゼを簡便かつ迅速に検出できる手段として有効であると思われた.

研究報告
  • 山下 和樹, 廣瀬 利彦, 西上 幸裕, 二木 俊江, 鉄本 訓史, 鈴木 真優美, 池田 聡之
    原稿種別: 研究報告
    2021 年 30 巻 1 号 p. 128-133
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/25
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    【目的】間質性肺炎(Interstitial pneumonia: IP)の急性増悪患者への神経筋電気刺激(Neuromuscular electrical stimulation: NMES)の効果を明らかにすること.

    【方法】当院に入院したIP急性増悪患者のうち理学療法開始時より14日間NMESを施行した7例をNMES群,NMES未施行の8例を非施行群とした.両群の理学療法開始時,7日後,14日後の等尺性膝伸展筋力,握力,NRADL等をカルテ情報より後方視的に抽出し比較した.

    【結果】7日後,14日後の等尺性膝伸展筋力の開始時比は非実施群と比較してNMES群で有意差を認めた.その他の項目で両群間に有意差を認めなかった.

    【考察】IP急性増悪患者に早期に行うNMESは等尺性膝伸展筋力を向上させる可能性があり,より効果的な理学療法介入が行える可能性が示唆された.

  • 菊谷 大樹, 大森 政美, 長神 康雄, 加藤 達治
    原稿種別: 研究報告
    2021 年 30 巻 1 号 p. 134-139
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/25
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    【背景と目的】医療・介護関連肺炎の多くは高齢者の誤嚥性肺炎であり,嚥下機能,咳嗽機能が低下している例が多い.咳嗽力の測定には咳嗽時最大呼気流速が用いられることが多いが,認知機能が低下した患者では実施困難である.今回,医療・介護関連肺炎患者に対し,より簡便な最長発声持続時間を用いて咳嗽力評価としての有用性と日常生活動作,嚥下機能との関連性について検討した.

    【対象と方法】2018年12月~2019年6月に戸畑共立病院に入院した患者で,医療・介護関連肺炎患者61例を対象とした.最長発声持続時間3秒未満群と3秒以上群に分類した.

    【結果】最長発声持続時間3秒未満群において自己排痰が困難である例が多く,日常生活動作能力と嚥下機能が有意に低値であった.

    【結語】医療・介護関連肺炎患者において,最長発声持続時間は咳嗽力評価として有用であり,日常生活動作能力・嚥下機能とも強い関連性があると考えられた.

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