肺移植後の嚥下障害に対するリハビリテーションの報告はほとんどない.今回,肺移植後に重度嚥下障害を呈した患者に嚥下動態に着目したリハビリテーションを行ったところ,嚥下機能は改善し,経口摂取が可能となったので報告する.患者は54歳,男性.骨髄移植術後肺障害による慢性呼吸不全に対し,右片肺移植術を施行された.術後,再挿管され人工呼吸器管理となり,気管切開術を施行された.人工呼吸器離脱後,嚥下評価において不顕性誤嚥を認め,重度嚥下障害と診断された.呼吸・嚥下リハビリテーションを行い,胃瘻造設を経て経口摂取訓練を開始した.約6ケ月の経過で嚥下機能は改善し,経口摂取が可能となり,日常生活動作は自立し退院した.本患者の嚥下障害は,嚥下関連筋群の著しい筋力低下や咽喉頭・気管の感覚低下などにより生じ,嚥下動態に応じた長期的なリハビリテーションが機能改善に寄与したと考えられた.