2021 年 30 巻 1 号 p. 125-127
重症筋無力症(MG)はしばしば胸腺腫を合併するが,MG合併胸腺腫に対する胸腺摘出後はMG急性増悪(クリーゼ)により重篤な呼吸不全を発症することがあり,術後クリーゼの早期発見・治療が重要である.今回,MG合併胸腺腫に対する胸腺摘出術で入院した67歳女性を担当し,周術期における最長発声持続時間の経時的推移をMGに対する標準的検査とともに測定した.最長発声持続時間は術後1日に低下後は改善して術後6日に術前値まで回復したが,術後7日に再低下しクリーゼと診断された.ステロイドパルス療法後から再度改善し,MG重症度スケールのMG-ADL(MG Activities of Daily Living)も同様に変動した.最長発声持続時間は,嚥下・発声・呼吸・咳嗽機能を総合的に評価している可能性が示唆され,手術前後の定期的測定は,クリーゼを簡便かつ迅速に検出できる手段として有効であると思われた.