【背景と目的】医療・介護関連肺炎の多くは高齢者の誤嚥性肺炎であり,嚥下機能,咳嗽機能が低下している例が多い.咳嗽力の測定には咳嗽時最大呼気流速が用いられることが多いが,認知機能が低下した患者では実施困難である.今回,医療・介護関連肺炎患者に対し,より簡便な最長発声持続時間を用いて咳嗽力評価としての有用性と日常生活動作,嚥下機能との関連性について検討した.
【対象と方法】2018年12月~2019年6月に戸畑共立病院に入院した患者で,医療・介護関連肺炎患者61例を対象とした.最長発声持続時間3秒未満群と3秒以上群に分類した.
【結果】最長発声持続時間3秒未満群において自己排痰が困難である例が多く,日常生活動作能力と嚥下機能が有意に低値であった.
【結語】医療・介護関連肺炎患者において,最長発声持続時間は咳嗽力評価として有用であり,日常生活動作能力・嚥下機能とも強い関連性があると考えられた.