2021 年 30 巻 1 号 p. 59-64
慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の主症状は呼吸困難であり,身体機能低下を伴う予後の不良へと導く悪循環が形成されることは周知の事実である.その悪循環には日常生活の中の身体活動量(PA)という因子も深く関わっており,患者診療における評価・治療・管理の面で非常に重要な柱になっている.PAの管理が,予後を見通す重要な因子になることから,様々な取組によるPAへの介入方法が検討されてきており,PAの改善が予後に与えうる影響を解明することも今後の課題になりうる.一方,吸気筋トレーニング(IMT)は未だにエビデンスレベルは低いものの,テクノロジーの進化に伴う新たなデバイスの発展により,その効果について再び脚光を浴びつつある.本稿では,PAに対する介入方法と影響因子,新たな負荷様式を備えたデバイスによるIMTの効果,そして両者の関連性を含め,IMTがCOPD患者のPAに影響する可能性について提言したい.