日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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ワークショップ
慢性呼吸不全患者が希望する生活を継続するための療養支援
―自己効力理論の活用―
伊藤 史
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2022 年 30 巻 3 号 p. 290-293

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抄録

自己効力感(self-efficacy)は,患者の行動への理解において必要な認知的な概念である.Banduraは人間の社会的行動について,外的刺激ではなく,それをどう受け止めるのかという認知が大きな役割を果たしていると考え,人間の行動を包括的に説明するための理論として社会的学習理論を提唱した.人間の行動を起こす(行動変容)には,「自分にはその行動をする力がある」という自己効力感を,成功体験,代理体験,言語的説得,生理的・感情的状態などの影響要因に働きかけて高めること,さらに「その行動をするとよい結果が生じる」という結果予期が必要になる.自己効力感の概念を用いた分析に適しているのは,「必要なのに行われない行動」である.看護師は患者の認知に目を向けて,患者が自分の行動を振り返り分析することを援助する.自己効力理論を活用して,慢性呼吸不全患者が希望する生活を継続するための療養支援について考える.

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© 2022 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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