2022 年 31 巻 1 号 p. 21-26
近年,本邦において急速に高齢化が進行しており,高齢肺炎患者も増加している.高齢者における肺炎の多くは誤嚥性肺炎であり,誤嚥性肺炎は死亡率や身体機能低下と関連し,在宅復帰や機能回復に難渋することが諸家の報告で示されている.地域包括ケアシステムの導入により,高齢肺炎患者の入院に伴う日常生活動作(activities of daily living,ADL)能力の低下を抑制し,如何に高い水準に保つかは重要な課題である.我々は,高齢肺炎患者の退院時ADL能力にどのような因子が影響するのかに着目し,検討してきた.
本研究の結果,高齢肺炎患者の退院時ADL能力には経口・経腸栄養開始日数や歩行開始日数,呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)開始時のBarthel indexが関連することが明らかとなり,入院後早期から栄養療法や離床を含めた呼吸リハによる非薬物療法を積極的に推進していく必要性が示唆された.