日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2189-4760
Print ISSN : 1881-7319
ISSN-L : 1881-7319
学会奨励賞受賞報告
急性期市中病院における高齢肺炎患者のADL能力に影響する因子の検討
―早期からの栄養療法と呼吸リハビリテーションの重要性―
村川 勇一
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2022 年 31 巻 1 号 p. 21-26

詳細
抄録

近年,本邦において急速に高齢化が進行しており,高齢肺炎患者も増加している.高齢者における肺炎の多くは誤嚥性肺炎であり,誤嚥性肺炎は死亡率や身体機能低下と関連し,在宅復帰や機能回復に難渋することが諸家の報告で示されている.地域包括ケアシステムの導入により,高齢肺炎患者の入院に伴う日常生活動作(activities of daily living,ADL)能力の低下を抑制し,如何に高い水準に保つかは重要な課題である.我々は,高齢肺炎患者の退院時ADL能力にどのような因子が影響するのかに着目し,検討してきた.

本研究の結果,高齢肺炎患者の退院時ADL能力には経口・経腸栄養開始日数や歩行開始日数,呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)開始時のBarthel indexが関連することが明らかとなり,入院後早期から栄養療法や離床を含めた呼吸リハによる非薬物療法を積極的に推進していく必要性が示唆された.

著者関連情報
© 2022 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
前の記事 次の記事
feedback
Top