気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患においては吸入療法が中心となっているが,内服薬とは異なり,薬物が呼吸器系へと送達されるためには適切な操作を必要とする.しかし,吸入薬の種類は多く,それぞれ使用方法が異なるため,高齢者ではとくに誤使用やアドヒアランス低下が報告されている.高齢者の指導においては,認知症をはじめとする併存疾患の存在や筋力,視力,聴力の低下などの特徴を理解しながら吸入指導をすることが重要であるが,薬局内の関わりのみでは指導の間隔が空いてしまい,誤った手技に陥り治療効果が低減してしまうケースがある.そのため,電話,来局,訪問,可能であればコミュニケーションツール等を利用し服薬状況を継続的にフォローする体制を構築することが必要である.