日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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ランチョンセミナー
肺高血圧症の治療における呼吸リハビリテーションの位置付け
―理学療法士の立場から考える―
稲垣 武
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2024 年 32 巻 2 号 p. 185-190

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抄録

近年,肺高血圧症患者に対する呼吸リハビリテーションの報告が散見され,運動耐容能や健康関連QOL(quality of life)改善の短期的な効果や安全性が示されている.2022年の欧州心臓病学会/欧州呼吸器学会のガイドラインでも,「薬物療法を行っている患者に対する監視下の運動療法」はクラスIと推奨されるようになった.呼吸リハビリテーションの内容は,COPDに対するものと大きく変わりなく,低強度運動療法,ADLトレーニング,患者教育等から構成されるが,開始時期は疾患に対する治療により肺動脈圧が低下し,その状態が安定してから考慮されるべきであり,診療科医師と密な連携を行った上での症例選択とリスク管理が重要である.ただ,適切に実施すれば,運動耐容能や健康関連QOLを改善できる安全で有効なadd-on therapyになりうると考えられる.

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© 2024 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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