日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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原著
挿管人工呼吸器管理された重症COVID-19患者における腹臥位療法の効果と有害事象の解析
森 輝樹 石原 敦司佐々木 優依細川 貴弘増田 篤紀吉眞 孝都竹 晃文
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2024 年 32 巻 2 号 p. 212-217

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抄録

【背景】挿管人工呼吸器管理されたCOVID-19患者に対する腹臥位により,酸素化の改善を認める症例を多数経験した.

【目的】挿管人工呼吸器管理されたCOVID-19患者に対する腹臥位の効果と有害事象について検討することを目的とした.

【対象と方法】重症COVID-19で人工呼吸器を装着した成人17例を対象とし,1回あたり16時間以上腹臥位を行い,腹臥位前,腹臥位8時間後,腹臥位終了4時間後のP/F ratioを測定した.

【結果】腹臥位実施前と実施8時間後のP/F ratioの最高値との比較で158.3±46.4から291.0±88.8へと有意差(P<0.01)をもって増加し,実施前と終了4時間後の比較でも272.7±76.7へと有意差(P<0.01)をもって増加した.腹臥位に直接的に関わる有害事象の発生は認めなかったが,集中治療を行う中で腹臥位に関連する可能性のある,気胸や口腔内在菌菌血症などの有害事象は41%に認めた.

【結論】挿管人工呼吸器管理されたCOVID-19患者における腹臥位は人工呼吸器の貴重な補助手段となり得る.

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© 2024 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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