様々な呼吸器疾患において,高率に栄養障害の合併を認め,病態との関連が認められる.なかでも慢性閉塞性肺疾患(COPD)は体重減少の頻度が高く,栄養障害は生活の質や予後と関連する.また,COPD患者では運動耐容能の低下や身体活動性の低下を認め,これらは栄養障害と密接に関連し,結果的にサルコペニアに繋がる.サルコペニア対策の重要な要素として,身体活動性の向上,全身性炎症の抑制,蛋白同化促進の3点が考えられ,栄養療法と運動療法のコンビネーションセラピーを構築する必要がある.また,特発性間質性肺炎も体重や脊柱起立筋は予後と関連している.非結核性抗酸菌症においても,体重,骨格筋量,脂肪量は病変の進展に関連しており,呼吸器診療においては,栄養評価を適切に行う必要がある.