日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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7 巻, 2 号
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原著
  • 満岡 孝雄, 佐藤 千代子, 中川 まゆみ, 大内 晴美, 藤沢 千代子, 渡部 珠枝, 鈴木 美恵子, 宮永 喜美子, 由利 真, 瀬尾 ...
    原稿種別: 原著
    1997 年 7 巻 2 号 p. 77-83
    発行日: 1997/12/19
    公開日: 2019/10/15
    ジャーナル フリー

    欧米では,慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者に対して,患者評価,患者・家族教育,禁煙指導,薬物療法,酸素療法,栄養指導,呼吸理学療法,心理社会的支援,継続的ケアなどを含む,“より包括的な”呼吸リハビリテーション(包括呼吸リハ)が実施され,症状改善やQOLの向上に役立つとして評価されている.当院のような呼吸器専門医のいない地域小規模病院において,この包括的呼吸リハがどのような形で実施可能か,大病院の呼吸器専門のスタッフの協力を得て試みた.COPD患者46名に対して包括呼吸リハの受講希望をとった.受講希望者は24名で,このうち実際に受講した者は16名であった.クラス方式で6回にわたり講習を行った.受講者の平均年齢は74歳であった.高齢にかかわらず講習内容の理解は悪くなく,病気を自ら管理しようとする自覚がもたらされた.地域小規模病院でも包括呼吸リハの実施は十分に可能であると考えられた.

  • 有田 健一, 国府島 直子, 大橋 信之, 中村 賢二, 大道 和宏
    原稿種別: 原著
    1997 年 7 巻 2 号 p. 84-89
    発行日: 1997/12/19
    公開日: 2019/10/15
    ジャーナル フリー

    5例の肺気腫症例に呼吸介助手技を併用し,呼吸困難度の改善ならびに肺生理学的な効果について検討した.呼吸介助は呼気に同調して下部胸郭に加えられた.呼吸介助手技の併用によって呼吸困難度は改善し,呼吸数は減少した.その際,機能的残気量の減少,1回換気量の増加,吸気予防量の減少がみられた.気管支拡張剤の吸入後に明らかに機能的残気量が減少し呼吸困難の改善がみられた症例ですら,呼吸介助手技を加えることによって一層の呼吸困難度の軽減が観察された.呼吸困難度の改善には機能的残気量の減少が大きな役割をはたすと思われたが,徒手的に行われた呼吸介助手技自体が呼吸困難を改善する効果をもつ可能性も示唆された.

  • 朝田 完二, 佐々木 陽子
    原稿種別: 原著
    1997 年 7 巻 2 号 p. 90-93
    発行日: 1997/12/19
    公開日: 2019/10/15
    ジャーナル フリー

    末期肺癌の在宅ケアとしての在宅酸素療法(HOT)導入は,在宅医療に対する関心の高まりとHOTの普及により増加している.1992年より1996年までに導入した末期肺癌患者を対象とし,年次別導入患者数,HOT導入後の在宅期間,導入後死亡するまでの入院期間,導入方法,導入後の入院理由,在宅での最終酸素吸入量について検討した.1992年より1996年までの新規導入患者は149名であり,末期肺癌患者導入は1992年3名,1993年5名,1994年11名,1995年6名,1996年6名である.導入後の在宅期間は30日から60日までの患者が全体の50%を占めた.導入後死亡するまでの入院期間は平均21日で,15日以内の患者が全体の61%であった.できるだけ自宅で過ごしたいという患者の希望を考慮し,1995年2名,1996年3名を外来にて導入を行った.導入後の入院理由としては,やはり呼吸困難の増悪が最も多く,ついで食欲の低下,疼痛の順である.在宅での最終酸素吸入量は,2<i>l</i>/分から3<i>l</i>分が全体の68%を占める.末期肺癌患者にHOTを導入することにより自宅療養が可能となったが,病状の進行が速いことを考慮して,家族との連絡を密にし,安心して日々過ごせるよう心がけることが大切と考える.

  • 川俣 幹雄, 千住 秀明
    原稿種別: 原著
    1997 年 7 巻 2 号 p. 94-98
    発行日: 1997/12/19
    公開日: 2019/10/15
    ジャーナル フリー

    重回帰分析を用いて慢性肺気腫の%IBW(percent of ideal body weight)と呼吸・代謝機能の関連性を検討した.%IBWへの影響因子で,最も重要なものは呼吸効率であった.呼吸効率の低下は,換気運動に伴うエネルギー消費量を増大させ低体重を加速していると推測された.<br>呼吸効率を改善し過剰なエネルギー代謝を適正化すること,COPDの体重減少の予防に重要な意義をもつ可能性が示唆された.

  • ―医療施設に対するアンケートより―
    瓜生 伸一, 渡辺 敏, 小林 馨, 白井 敦史
    原稿種別: 原著
    1997 年 7 巻 2 号 p. 99-103
    発行日: 1997/12/19
    公開日: 2019/10/15
    ジャーナル フリー

    在宅人工呼吸療法の基礎資料を得るために在宅人工呼吸療法を実施している医療施設に対してアンケートを実施した.従来からの在宅人工呼吸療法は,マニュアルやガイドラインがないままに行われてきたが,本調査においても実施条件や体制が異なっていたり,その他にも在宅人工呼吸療法のいろいろな問題点が明確になった.今後は,これらを改善したうえで,十分な体制のもとに実施することが重要と思われた.

  • 早川 美和子, 安藤 守秀, 西堀 さおり, 鵜飼 淳子, 岡西 哲夫, 榊原 博樹, 才藤 栄一, 末次 勸
    原稿種別: 原著
    1997 年 7 巻 2 号 p. 104-108
    発行日: 1997/12/19
    公開日: 2019/10/15
    ジャーナル フリー

    藤田保健衛生大学病院に入院中の慢性閉塞性肺疾患以外を原疾患とする慢性呼吸不全患者13例に対して慢性閉塞性肺疾患患者と共通のプログラムで系統的な呼吸リハビリテーションを実施した.その結果,呼吸困難度,活動能力および健康に関する生活の質に有意な改善がみられ,これらの患者においても慢性閉塞性肺疾患患者と同様のプログラムで同等の効果が得られることが示された.

  • 亀井 三博
    原稿種別: 原著
    1997 年 7 巻 2 号 p. 109-116
    発行日: 1997/12/19
    公開日: 2019/10/15
    ジャーナル フリー

    閉塞型睡眠時無呼吸症候群の男性16名(平均年齢:51±9.2歳)にたいしてパルスオキシメーターを用いたCPAP-titraionを行い,昼間の傾眠傾向の改善,低酸素資料の改善,Respiratory Disturbance Index (RDI) の改善(49.6±18.00から5.5±3.6へ)をみた.PSGとの比較,予後,コンプライアンスによる検証が必要であるが,パルスオキシメーターは安価,簡便であり,その限界を知り使用すれば治療面でもPSGの必要頻度を減らす可能性がある.

  • 中山 寿美子, 竹永 陽子, 岩永 知秋, 平井 正志, 鶴谷 秀人, 広瀬 隆士, 西間 三馨
    原稿種別: 原著
    1997 年 7 巻 2 号 p. 117-121
    発行日: 1997/12/19
    公開日: 2019/10/15
    ジャーナル フリー

    国立療養支所南福岡病院では在宅酸素療法(以下HOT)患者を対象として在宅医療を実施している.慢性呼吸不全と肺癌のターミナル期の在宅患者家族について,死亡場所の選択,患者の意向にそった援助についての検討を行った.病院死は肺癌,間質性肺炎が多く,最後の入院理由は病状の進行における呼吸困難感などの苦痛の増強が多くを占めていたが,肺癌ではぎりぎりまで在宅が可能であった.在宅死例は家で看取ることになった理由として患者,家族の強い希望が多くを占めており,介護力も高かった.慢性呼吸不全の場合,急激な悪化が在宅死の一要因とも考えられた.訪問看護はターミナル期の患者にきめ細かな看護ケアを提供し,その家族の看取りに対しての援助を行ううえで重要な位置を占めている.

  • 宮崎 こずえ, 徳永 豊, 岡山 真史, 石田 啓, 江川 博彌, 奥原 種臣, 宮本 晴子, 山木戸 道郎
    原稿種別: 原著
    1997 年 7 巻 2 号 p. 122-127
    発行日: 1997/12/19
    公開日: 2019/10/15
    ジャーナル フリー

    救急外来を受診した肺結核後遺症による慢性呼吸不全急性増悪患者10例に対し急性期より鼻マスクによる非侵襲的陽圧換気を施行し全例挿管することなく救命した.マスク内圧を連続記録し吸気および呼気感知エラーの有無を判定した.感知エラー例には患者の努力呼吸パターンに対応した非トリガー式の補助換気を考案し,施行した.肺結核後遺症は,夜間には努力呼吸のレベルが下がり感知エラーが生じやすい傾向にあり,注意が必要である.

  • 熊谷 美穂, 近藤 哲理, 太田 保世
    原稿種別: 原著
    1997 年 7 巻 2 号 p. 128-131
    発行日: 1997/12/19
    公開日: 2019/10/15
    ジャーナル フリー

    Ⅱ型慢性呼吸不全の呼吸調節系の検討目的で,ラットを5%CO2 と10%CO2(PaCO2,46.7および73.0 Torr)で12~18週間飼育した.5%CO2第0週の換気量は空気呼吸時の約2.1倍で,第2週以後も曝露前空気呼吸時より高値を維持した.10%CO2長期曝露での換気量は第6,12週でも高値を保ち,第18週で有意に低下した.急性増悪のシュミレーションとして10%CO2長期曝露ラットに低酸素(6%O2+10%CO2)を負荷すると,換気量は約20%増加し,高濃度酸素(90%O2+10%CO2)投与で約20%低下したが,曝露前空気呼吸時の約1.8倍であった.慢性CO2血症に対して呼吸中枢のCO2感受性の低下はわずかであると結論した.

  • 潤間 隆宏, 木村 弘, 栗山 喬之
    原稿種別: 原著
    1997 年 7 巻 2 号 p. 132-135
    発行日: 1997/12/19
    公開日: 2019/10/15
    ジャーナル フリー

    CMA長期投与の臨床的有用性と安全性に関する検討を行うことを目的として,合成プロゲステロン製剤,クロールマジノン酢酸(CMA)の長期投与を行った慢性肺胞低換気症例を対象として,臨床経過,呼吸機能,動脈血液ガス分析値,換気応答検査等を分析した.中枢性肺胞低換気を主体とした症例は3例,慢性気管支炎型のCOPDは1例,慢性気管支炎症例1例であった.主訴として呼吸困難を訴えた症例は2例にとどまり,全例で高炭酸ガス血症を伴う呼吸不全をみとめた.PaCO2 は自発過換気により低下がみられた.換気応答検査施行例では低酸素換気応答は低下していた.CMA投与により,呼吸困難の増強症例はなく,PaCO2の低下とPaCO2の上昇傾向がみられた.長期投与に伴い,問題となる副作用の発現はみられなかった.慢性肺胞低換気を伴う患者のうち換気応答の低下を伴い,肺機能が比較的保たれている症例では,CMAの投与の適応となる症例群が存在することが確認された.

  • 近藤 康博, 谷口 博之, 谷澤 誠, 西山 理, 水野 裕文, 伊藤 理, 若山 英雄, 中川 拓, 高木 健三
    原稿種別: 原著
    1997 年 7 巻 2 号 p. 136-140
    発行日: 1997/12/19
    公開日: 2019/10/15
    ジャーナル フリー

    慢性呼吸不全の急性増悪における非侵襲的陽圧換気(NPPV)の有効性と限界を検討した.対象は32例(男性24例,女性8例,平均年齢71.8歳),38エピソード.挿管回避28エピソード,挿管8エピソード,死亡4エピソードであった.挿管回避例においては,NPPV導入2時間のうちにはpH,PaCO2,呼吸数の有意な改善をみとめた(p<0.05).NPPV離脱25エピソードの検討では,NPPVの使用時間は平均82.9時間,5.9日であった.NPPV失敗例は,成功例と比べ有意に炭酸ガス分圧の高値をみとめ(p<0.05),より重症の高炭酸ガス血症を呈していた.

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