日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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原著
慢性肺胞低換気症例に対する合成プロゲステロン製剤長期投与の検討
潤間 隆宏木村 弘栗山 喬之
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1997 年 7 巻 2 号 p. 132-135

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抄録

CMA長期投与の臨床的有用性と安全性に関する検討を行うことを目的として,合成プロゲステロン製剤,クロールマジノン酢酸(CMA)の長期投与を行った慢性肺胞低換気症例を対象として,臨床経過,呼吸機能,動脈血液ガス分析値,換気応答検査等を分析した.中枢性肺胞低換気を主体とした症例は3例,慢性気管支炎型のCOPDは1例,慢性気管支炎症例1例であった.主訴として呼吸困難を訴えた症例は2例にとどまり,全例で高炭酸ガス血症を伴う呼吸不全をみとめた.PaCO2 は自発過換気により低下がみられた.換気応答検査施行例では低酸素換気応答は低下していた.CMA投与により,呼吸困難の増強症例はなく,PaCO2の低下とPaCO2の上昇傾向がみられた.長期投与に伴い,問題となる副作用の発現はみられなかった.慢性肺胞低換気を伴う患者のうち換気応答の低下を伴い,肺機能が比較的保たれている症例では,CMAの投与の適応となる症例群が存在することが確認された.

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© 1997 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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