末期肺癌の在宅ケアとしての在宅酸素療法(HOT)導入は,在宅医療に対する関心の高まりとHOTの普及により増加している.1992年より1996年までに導入した末期肺癌患者を対象とし,年次別導入患者数,HOT導入後の在宅期間,導入後死亡するまでの入院期間,導入方法,導入後の入院理由,在宅での最終酸素吸入量について検討した.1992年より1996年までの新規導入患者は149名であり,末期肺癌患者導入は1992年3名,1993年5名,1994年11名,1995年6名,1996年6名である.導入後の在宅期間は30日から60日までの患者が全体の50%を占めた.導入後死亡するまでの入院期間は平均21日で,15日以内の患者が全体の61%であった.できるだけ自宅で過ごしたいという患者の希望を考慮し,1995年2名,1996年3名を外来にて導入を行った.導入後の入院理由としては,やはり呼吸困難の増悪が最も多く,ついで食欲の低下,疼痛の順である.在宅での最終酸素吸入量は,2<i>l</i>/分から3<i>l</i>分が全体の68%を占める.末期肺癌患者にHOTを導入することにより自宅療養が可能となったが,病状の進行が速いことを考慮して,家族との連絡を密にし,安心して日々過ごせるよう心がけることが大切と考える.