1997 年 7 巻 2 号 p. 84-89
5例の肺気腫症例に呼吸介助手技を併用し,呼吸困難度の改善ならびに肺生理学的な効果について検討した.呼吸介助は呼気に同調して下部胸郭に加えられた.呼吸介助手技の併用によって呼吸困難度は改善し,呼吸数は減少した.その際,機能的残気量の減少,1回換気量の増加,吸気予防量の減少がみられた.気管支拡張剤の吸入後に明らかに機能的残気量が減少し呼吸困難の改善がみられた症例ですら,呼吸介助手技を加えることによって一層の呼吸困難度の軽減が観察された.呼吸困難度の改善には機能的残気量の減少が大きな役割をはたすと思われたが,徒手的に行われた呼吸介助手技自体が呼吸困難を改善する効果をもつ可能性も示唆された.