2026 年 41 巻 1 号 p. 74-83
近年,教育方針として,問題発見・解決能力の育成を重視することが国際的な流れとなっており,日本の高等学校教育でも,文部科学省が掲げる方針の下,問題解決プロセスを用いた探究学習を行うことで問題解決力を育む教育活動が盛んとなってきた。
しかしながら,我が国の高等学校においては,探究学習を指導する環境が十分には整っていないと筆者らは捉えている。特に,我が国における高等学校の探究学習においては,“探究指導に必要な知識”を,教員に伝えることが必要とされている。そのためには,探究学習の方法,言い換えると,研究の仕方を定式化して,各段階を言語化し,研究の方法を定式化して,テンプレートとも言うべきものを作成する必要がある。
知識には形が無く,形式化することは一見困難に見えるが,筆者らは,オントロジー工学の技術を用いることで,この課題に取り組んでいる。はじめに,高校の教育現場において,探究学習指導のための知識を現場の教員に伝承しなければならない現状について観察と分析を行った。それに基づいて探究学習を支援するために必要な知識の内容,すなわち,探究学習の手順をモデル化するための方法を検討し,さらに,その知識自体の評価を行った。また,オントロジーそのものは可読性が低いため,探究学習についての知識の伝承を支援するためのシステムについても設計を行っており,本稿ではその概要を示す。