抄録
我々は肝癌の高危険群においてその早期発見を目的としたサーベイランスの管理システムを構築したので,その成績を報告する.対象は,主に肝炎ウイルス陽性の慢性肝炎および肝硬変患者.腹部超音波検査(以下US)施行日を追跡し,前回検査から6か月以上US,腹部CT,腹部MRIのいずれの画像検査も施行されていない患者について,主治医にUSを促す連絡を行っている.
2006年1月から2012年12月の間に,対象患者1,805人に合計9,898件のUSが施行された.このうち1,445件(14.6%)でUS後6か月以上腹部画像検査が施行されておらず,主治医に連絡を行った.
この7年間で対象患者に発見された初発肝癌は104例であった.これらを,直近のUSが肝癌発見の前7か月未満に施行されていた65例(f/u群)と,直近のUSが肝癌発見の7か月以上前であった39例(非f/u群)に分けた.
平均腫瘍径は,f/u群16.55±5.81 mm,非f/u群32.95±22.68 mmで,f/u群の方が有意に小さかった(p<0.05).肝癌発見から5年以上経過した45例(f/u群30件,非f/u群15件)において,5年生存率は,f/u群は69.3%で,非f/u群の31.6%群に比べ有意に良好であった(p<0.05).
我々の管理システムは肝癌の早期発見と5年生存率の向上に有用であると考えられた.