超音波検査技術
Online ISSN : 1881-4514
Print ISSN : 1881-4506
ISSN-L : 1881-4506
学術書―原著
潰瘍性大腸炎における体外式超音波検査の病変範囲描出能と重症度評価
古藤 文香森田 勇宇野 博之國吉 玲奈伊東 ひろみ田中 瞳古藤 俊幸平野 玄竜壁村 哲平
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 40 巻 1 号 p. 13-21

詳細
抄録

潰瘍性大腸炎(UC)は,主として粘膜を侵し,しばしばびらんや潰瘍を形成する大腸の原因不明のびまん性非特異性炎症である.治療や経過観察には病期の判定,罹患範囲の把握,重症度評価などが重要となる.UCの画像診断には,下部消化管内視鏡検査(CS)や注腸X線検査が用いられるが,いずれも侵襲的で,CSは活動期に前処置なしで評価する場合も多い.今回我々は,UCの経過観察の際に,体外式超音波検査(US)の大腸描出能と罹患範囲描出能,および重症度評価をCSと比較した.対象は,2003年8月から2012年7月までにUSとCSを同時期に施行した41症例85検査.大腸描出能は,CSは挿入範囲,USは系統的走査で描出可能範囲とした.重症度は,CSは厚生労働省「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班の重症度で分類,USは壁厚と層構造から,正常(U1),肥厚が粘膜層に留まるものを軽度(U2),粘膜下層まで肥厚し低エコー化が無いものを中等度1(U3),U3の粘膜下層に低エコー化があるものを中等度2(U4),全層が肥厚し,第3層の低エコー化が強く壁全体が不明瞭化するものを強度(U5)に分類した.USの90%が全大腸を描出しCSの挿入より深部の活動病変も評価可能であった.USとCSの重症度評価は強い相関があり,活動が強いほど罹患範囲が一致する傾向にあった.USは非侵襲的に罹患範囲の描出や重症度評価が可能であり,UCの画像診断として有用であると考えられた.

著者関連情報
© 2015 一般社団法人 日本超音波検査学会
次の記事
feedback
Top