超音波検査技術
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若手研究奨励賞-研究
膵神経内分泌腫瘍の超音波検査所見の検討
仲山 由佳利五嶋 玲子福本 恵美小柳 紀子髙梨 昇古川 大輔浅井 さとみ中郡 聡夫中村 直哉宮地 勇人
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2015 年 40 巻 2 号 p. 174-182

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抄録
目的:膵神経内分泌腫瘍(以下pNET)の超音波検査所見について検討する.
対象と方法:2005~2011年に当院にて超音波検査を施行し,病理組織学的にpNETと診断された21例(男/女:8/13,平均年齢:56歳(27~71歳))を対象とした.内訳は機能性4例(インスリノーマ3例,グルカゴノーマ1例),非機能性17例で,腫瘍の発生部位・径・性状について超音波検査所見を後方視的に検討した.
結果:発生部位は機能性で鉤部1/4例,尾部3/4例と尾部に多く,非機能性では発生部位による差はなかった.腫瘍径は機能性で28~53 mm(平均:35 mm),非機能性で12~107 mm(平均:39 mm),輪郭は機能性で明瞭整3/4例,判定困難1/4例,非機能性で明瞭整9/17例,明瞭不整6/17例,不明瞭2/17例であった.内部エコーの輝度は機能性で高エコー1例,等エコー1例,低エコー1例,無エコー1例,非機能性で等エコー2例,低エコー15例であり,非機能性は低エコーが多かった.また分布は機能性で均一4/4例(無エコー1例含む),非機能性で均一7/17例,不均一10/17例と非機能性は不均一が半数以上みられた.また,囊胞性部分や石灰化像を伴うものもみられた.ドプラ検査を施行した17例(機能性2例,非機能性15例)では,腫瘍内血流は機能性2例,非機能性11例でみられた.
考察:pNETの典型的超音波検査所見は,輪郭は明瞭で整,内部均一な低エコー腫瘍で血流が豊富である.機能性は腫瘍径の小さいものが多く,比較的典型的な超音波検査所見を呈するが,非機能性は腫瘍径の大きいものも存在し,それらは不整,内部不均一と非典型的所見を呈していた.
結語:超音波検査を施行する際にはpNETとして典型的な超音波検査所見を捉えるとともに,非典型的所見もあることを念頭において検査を進めることが重要である.
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© 2015 一般社団法人 日本超音波検査学会
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