超音波検査技術
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学術賞―研究
傍神経節腫の超音波像の検討
橋本 碧宮越 基中谷 穏中島 幸恵小林 幸子伊藤 智栄蓮尾 茂幸中島 哲平岡 伸介
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2017 年 42 巻 1 号 p. 24-35

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抄録

目的:傍神経節腫(paraganglioma)は,副腎外褐色細胞腫ともいわれ,副腎外の交感神経系および副交感神経系の傍神経節から発生する腫瘍である.まれな腫瘍であり,超音波像を主体として検討を行った報告は少ない.今回我々は,傍神経節腫8病変の超音波像を検討したので報告する.

対象と方法:2001年8月~2014年3月までに当院にて超音波検査施行し,病理組織学的に傍神経節腫と診断された8症例,8病変を対象とした.内訳は,切除7病変,生検1病変,年齢は15~72歳(中央値36歳),性別は,男性4例,女性4例であった.

各病変の超音波検査における存在部位,大きさ,形状,境界,内部性状,カラードプラの所見について検討した.

結果と考察:8病変中7病変は後腹膜,1病変は腹腔内に存在した.後腹膜に存在した5病変および腹腔内に存在した1病変の計6病変(75%)は,下大静脈もしくは膵に接していた.大きさは,23~119 mm(中央値65 mm).形状は,類球形6病変(75%),多角形1病変,不整形1病変であった.8病変全て境界明瞭(100%)であった.内部性状は,4病変(50%)は充実性腫瘍,4病変(50%)は囊胞状成分優位の腫瘍であった.血流信号を検出したものは,腫瘍内部に大きな囊胞状成分を認めた症例を除く7病変(88%)であった.由来臓器の特定を行うために,動的観察を駆使した.腫瘍の形状は,類球形が多く,全て境界明瞭を示した.また,内部に血流信号を検出する病変が多かった.存在部位とこれらの所見を合わせて診断する必要がある.内部に囊胞状成分を伴わない病変が4病変あり,囊胞状成分の有無のみで鑑別診断することは困難と考える.

結論:後腹膜に位置し,類球形,境界明瞭で血流豊富な腫瘍を認めた際は,傍神経節腫を念頭に診断を進める必要がある.

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© 2017 一般社団法人日本超音波検査学会
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