超音波検査技術
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学術賞–原著
Shear Wave Elastographyによる非アルコール性脂肪肝疾患の肝線維化評価
山下 都眞部 紀明大地 達也岩井 美喜西野 謙川中 美和
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2019 年 44 巻 1 号 p. 17-25

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抄録

目的:非アルコール性脂肪肝炎(Non-alcoholic steatohepatitis: NASH)の予後因子として肝線維化進展が重要であり,肝線維化評価を非侵襲的に行う必要がある.そこで非アルコール性脂肪性肝疾患(Non-alcholic fatty liver disease: NAFLD)患者に対し超音波を用いたShear Wave Elastography(SWE)による肝剪断速度測定を行い,肝生検による線維化stage診断と比較しその有用性について検討した.

対象と方法:2016年4月から2017年3月の間にSWEを施行し,肝生検による組織評価が同時に可能であったNAFLD患者93名を対象として,両検査結果を比較検討した.また,皮下脂肪とBMIの影響を検討した.超音波診断装置はキヤノンメディカルシステムズ社製Aplio500™ Ver.6, 3.75 MHzコンベックスプローブを用いた.

結果と考察:皮下脂肪やBMIの影響で測定不良であったものは29.3%であった.剪断速度は軽度の線維化では上昇がみられなかったが,線維化stage3以上で有意に上昇し,カットオフ値は1.52 m/s(7.1 kPa)であった.また,炎症grade間にも有意差を認めたが脂肪化steatosisとの関係はみられなかった.SWE測定には皮下脂肪・BMIの影響がある症例を認めたが,肝内脂肪の影響は少ないと思われた.

結語:SWEはNAFLDの肝線維化診断に有用であると考えられた.

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© 2019 一般社団法人日本超音波検査学会
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