超音波検査技術
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症例報告
腹部から頸部までの連続するアプローチとその総合評価が有用であった食道アカラシアの1症例
福井 智一鈴木 浩之高田 晃男坂口 ちなつ内田 祐介三堂 広樹峰松 峰佳森田 俊川口 巧
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2024 年 49 巻 4 号 p. 391-396

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抄録

食道アカラシアはアウエルバッハ神経叢の変性や消失による下部食道括約筋の弛緩不全を原因とし,食道の通過障害・異常拡張をきたす10万人に1人程度のまれな機能性疾患で食道扁平上皮癌の危険因子と考えられている.症例は20代女性.既往歴に特記事項なし.1年ほど前より徐々に増悪する夜間臥位時の胸のつかえ感,心窩部違和感を主訴に当院を受診.腹部超音波検査では,心窩部縦走査にて肝左葉と腹部大動脈の間に食道胃接合部が観察されたが,壁肥厚を軽度認めるものの壁構造は明瞭で,拡張像は認められなかった.胸部下部食道は内容物の貯留を伴い,最大で35 mm大に拡張し食道胃接合部に向かって滑らかに狭小化している所見を認めた.頸部超音波検査では,頸部食道が最大で34 mm大に拡張している所見が得られた.後日施行した食道透視検査では食道胃接合部の漏斗状狭窄が観察され,III度のシグモイド型食道アカラシアの診断に至った.ほぼ同時期に妊娠反応が陽性となったため,出産後に内視鏡的バルーン拡張術が施行され,アカラシア症状の改善が得られた.食道アカラシアの診断・経過観察には食道造影検査等が必要であるが,妊娠等の特に放射線被曝を避けたい症例においては,頸部超音波を組み合わせた検査が有用であると示唆された.我々は,腹部超音波検査から連続的頸部アプローチが診断に有用であった症例を経験したため,若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2024 一般社団法人日本超音波検査学会
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